現物出資で益出し損出




現物出資を使って、益出し損出し。所得調整は自由自在。 



バードレポート第295号2000年3月13日

東武鉄道さんが不動産を現物出資し子会社をつくります。

「不良資産の処理を進めるためにまず今年3月中に・・・3つの子会社を設立。東武本体が保有している含み益のある土地・建物や株式を現物出資する。・・・今回の方式では東武は別会社を作り、土地を現物出資、新会社が再評価益を計上することで、部分的に再評価することを可能にした。」日経新聞2000.2.24

現物出資は、会社の資本金として金銭を払い込まずに、不動産等の現物で払い込むことです。

ポイントは「部分的に再評価することが可能」なことです。


原価1億円で現在の時価が100億円の土地を親会社が現物出資します。子会社はいくらで受け入れるのでしょうか。時価以下ならOKです。すなわち1億円でも100億円でもいいのです。

子会社が100億円で受け入れれば99億円の、いわば「再評価益」ともいえるようなものが子会社に計上されます。(なお東武の子会社は、現物出資の受入により再評価するのでなく、「土地再評価法」という法律により再評価をすると思われます。)

親会社にとっての現物出資


興味を引くのは親会社の処理です。親会社にとって現物出資は譲渡と同じです。

土地を子会社に売却し、土地売却の対価として、子会社の株式を受け取ったことになります。

子会社が時価100億円の土地をもつので、対価となる子会社株式の時価は100億円でしょう。

親会社には99億円の「売却益」が計上されることになります。

日本経済新聞には子会社の「再評価益」で不良資産を処理するとはありますが、親会社の「売却益」は触れていません。

現物出資の面白いのは、任意の不動産だけを現物出資できること。親会社にとって利益を出したければ、含み益のある不動産を現物出資すればいいのです。

本業の利益が出過ぎたので損出しをしたいなら、含み損不動産を現物出資すればいいのです。その選択は恣意的にできます。

益出しや損出しは、関連会社に対しての売買により行うことが多いようです。その場合に困るのは売買代金の決済です。ところが現物出資なら代金授受は不要です。せいぜい株券を印刷し株券授受をするくらいです。


商法では現物出資には裁判所選任の検査役調査という面倒な手続きが必要ですが、不動産だけの現物出資なら不動産鑑定士の鑑定評価と弁護士の証明書だけでOKという特例があります。

税金目的の現物出資


税務も同じで、損出し益出しに使えます。公開企業は会計基準や会計監査を気遣いする必要がありますので、その必要のない中小企業の方が気楽に税金目的現物出資を実行できます。

(なお所得調整目的ではなく、単に不動産を子会社化する現物出資については法人税の課税繰り延べの特例があります。個人には特例はありません。)

利益が10億円出てしまったAさん(又はA社)には含み損10億円の不動産があります。Aさんはこの含み損の不動産を手放すつもりはありませんが、含み損10億円を使い今年の利益10億円の相殺をしたいと考えます。

この場合は含み損不動産を身内等に売却するのが通常です。そうすれば実質的には手放さないまま売却損計上ができます。しかし身内であっても売買代金の決済の必要が生じます。

そこで身内への売却でなく、不動産の現物出資をします。新設法人でも既存法人へ増資でも可です。その結果、売買代金決済なしで売却損計上が可能になります。法人なら将来その現物出資子会社を吸収合併し不動産を取り戻すことすらも可能です。


一方何らかの都合で利益を出したいBさん(又はB社)は、含み益のある不動産を現物出資することで売買代金の決済なしで売却益の計上が可能になります。

現物出資での所有権移転の登録免許税は売買と同じ1000分の50ですが、不動産取得税は一定条件下で非課税になります。


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