居住用特例適用のため




「住んでいたことにした」土地建物への税金と税務調査 



バードレポート第301号2000年4月24日

マイホームすなわち「居住用」土地建物に関しては税金上で様々な優遇措置があります。

売却時の3000万円特別控除・買換・低税率、配偶者への2000万円非課税贈与、相続時には小規模宅地8割評価減。

居住用とそうでない土地建物との税負担額は天と地ほど。

「居住用なら税金がこんなに少なくて済むのに。」と言われれば、住民票だけでも移したくなるのは人情でしょう。

こうして「居住用の」土地建物ではなく、「居住用にしたことにした」土地建物についての申告書が税務署に提出されます。

しかし税務署はプロです。「これは臭い」とすぐ調べます。



「住んでいたことにした」


さて、A市の社宅に住む甲さんはB市に空家を持っていました。甲さん夫婦は1992年5月に住民票をB市に移しました。

その3ケ月後にB市の土地建物の持分2000万円を妻に贈与しました。これは結婚20年の配偶者にはマイホームについて2000万円を無税で贈与できるという特例です。さらに翌年1月にはこの元空屋の売却しました。

本来ならばそっくり一般の譲渡税の課税対象になります。そこで居住用だとして妻にまず無税贈与して、夫ばかりか妻も居住用売却としての特例を使い、売却益に対して夫婦それぞれ3000万円、合計6000万円の控除を受けようとしたのでしょう。

こうして甲さんはまず贈与税申告をしました。そして税務署に調べられて否認されました。

その上で事実に反して住民票を動かしたことが「事実の仮装隠蔽」だとし罰金ともいえる「重加算税」が課され、甲さんは悪意はなかったと争いました。

税務署は何を調査したか


国税不服審判所の1996年4月15日裁決には、税務署が何を調査したかが書かれています。

(1)近隣の住民に聞いたところ、Aさんは住んでいなかったと答えた。

(2)電気が使用開始されたのは住民票が移ってから4か月後である。

(3)使われた電気と水道が極めて少ない。

(4)一方でA市に社宅を借りたままであった。

(5)A市の社宅の電気と水道の使用料が多い。

(6)勤務先の社員に聞いたところ、勤務先に対して住所変更届けはでていなかった。

(7)銀行証券会社に対しても住所変更届けはでていなかった。


贈与税ゼロのつもりが800万円近くの贈与税と300万円近くの重加算税、されに年利14.6%の延滞税を払うことになったはずです。居住用財産売却の3000万円控除も否認されたでしょう。

「住んでいた」のではなく「住んでいたことにした」のを見破るのはそう難しくはありません。

「住民票さえ移せば大丈夫ですよ。」とお客さんにお気楽アドバイスをしていた明るい仲介営業マンがいました。この後どうなったのか心配になります。

税務署はプロです。住民票を動かしただけのようなものはすぐにチェックします。そして、このように電気使用料や近隣住民の聞き取り調査までします。そうして、すぐバレます。

住まなくなっても居住用


なお住まなくなってから3年後の年末までの売却なら、その土地建物は税務上の居住用財産売却の特例が受けられます。売却までの間は空家でも、他人に賃貸していても大丈夫です。

ただし建物を取り壊してしまうとダメです。

居住用財産売却の特例は土地ではなく居住用の建物を売却したときの特例です。建物と一緒に売却した土地については建物の「おまけ」として特例が認められるのに過ぎないのです。


なお売却しやすくするために建物を取り壊すこともあるでしょうから、売却のための建物取り壊し後1年間に限っては土地だけの売却も認められます。

何らかの事情で住民票が無くと実際に住んでいてそれを説明できれば特例が使えます。


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