債権者による生保解約と貸金庫




債権者はなんでもできる(1)…生命保険解約と貸金庫内引渡 



バードレポート第303号2000年5月8日

債権者は債務者に対して何をやってもかまわない…そんな最高裁判決が続出しています。

(1)まず債務者の生命保険を解約できる。(2)債務者の貸金庫の内容物の差押ができる。(3)抵当権があれば不法占有者に立退きを求められる。(4)しかし債権者たる銀行の稟議書は裁判所に提出する必要がない。…今回は(1)と(2)を取り上げます。

生命保険の解約


<1999年9月9日最高裁判決>

東京都内のある人が知人にお金を貸したが返してくれません。その知人が三井生命の定期付終身保険に加入しているのを知ったので、その生命保険の解約返戻金請求権を差押しました。その上で三井生命に解約の申し出をしたところ、解約を拒否されてしまいました。

そこで三井生命を相手に解約と支払いを求める訴訟を起します。一審の東京地裁は解約を認め54万円の解約返戻金の支払いを求める判決となりました。三井生命は法的判断を最高裁に求めて飛躍上告をします。最高裁は三井生命の上告を棄却し、解約が認めました。

生命保険業界では一般の債権者による解約は、保険契約者保護だとして認めていないようです。そのために債権者は解約返戻金請求権を差押したとしても、実際には解約ができません。

解約ができないまま保険料の支払いが滞れば、解約返戻金から保険料がどんどん差し引かれてしまい、最終的には解約返戻金はゼロとなり、その生命保険契約は失効してしまいます。

それが変わります。この最高裁判決の結果、生命保険会社各社は債権者による解約申入れを受け入れることになるでしょう。

「私が死んだときに保険金で返済するから」というはかない望みは債権者に対しては届きません。その保険は強引に解約され解約返戻金までもとられたうえで「もっと返せ」となります。

早めの解約か、解約返戻金のない掛捨保険にするかですね。

なおこの債権者はまだ良心的なのだとか…。危ない債権者は、保険金受取人や契約者を債権者自らに変更させてしまいます。何とこれに簡単に応じてしまう保険会社もあります。債権者が保険料を払い続けます。そして耳もとで「死んで払え…」だそうです。腎臓や目玉どころではありません。

貸金庫内容物の引渡し


<1999年11月29日最高裁判決>

債務者が三和銀行に貸金庫を借りていました。債権者はこの貸金庫の中に「現金、株券など有価証券、貴金属」といった動産が収められているとにらみました。

そこで貸金庫内容物の動産引渡請求権を差押さえた上で、貸金庫内容物を裁判所の執行官に引渡すようにと三和銀行に求めました。

三和銀行は判断を裁判所に求めました。裁判は5年かかって決着しました。

法的には多くの論点がありました。貸金庫内容物を銀行に対しての引渡しとして求められるのか、銀行は貸金庫の中のものを知らないし、差押対象をどう具体的に特定するのか、実際の執行官による執行はどのように行うか…。

結論は、貸金庫内容物について銀行に対しての引渡請求をすることができ、その際に個別具体的に特定した目録は不要であり、執行官が中身をみて目録をつくり判断します。銀行はノータッチで済むことになりました。

この最高裁判決の結果として銀行各行は債権者による貸金庫内容物の引渡請求を受け入れることになるでしょう。


これまでの貸金庫の中は比較的安全でした。借金だらけでも貸金庫の中は現金や宝石の山ということもあるそうです。

「火事でも安心」で「預金の金利はほとんどゼロだし、銀行が倒産しても預金と違い安全だから」との理由ばかりでなく「預金と違い債権者から差押えされにくい」との利点もありました。この利点はなくなりそうです。


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