上場株のクロス取引節税




上場株の売却益課税は2001年4月改正…クロス取引での節税



バードレポート第310号2000年7月3日

ご注意…この後の改正で、源泉分離課税廃止は2003年3月末に延長されました。株式会社ファーストリテイリング(東証1部・衣料品チェーン「ユニクロ」の経営主体)の社長と親族との計4名は、持ち株5380億円分を6月28日の証券取引所の取引終了後に野村証券に売却し、翌朝の取引開始前に野村証券からほぼ全額を買い戻しました。(日経新聞2000.6.29.)

売却と買戻しとを市場外で実質的に同時に行ったのです。これを「クロス取引」といいます。

さて終わってみれば5380億円分を売却してほぼ同額を買い戻しているのですから、何も変わらないように見えます。

また株式売却に際して売却額の1.05%で56億円の源泉分離の所得税を払ったので、その分が目減りまでしてしまいました。

何が目的だったのでしょうか。


ここに時価5000億円分の上場株式があります。この株式の実質財産額はいくらでしょうか。

5000億円ではありません。株式を売却すれば源泉分離の所得税が課せられますから、その税金分(売却額×1.05%=53億円)を差引いた金額約4947億円がこの株式の実質財産額です。

この株式の実質財産額が2001年4月に目減りします。それは売却益に対する源泉分離課税が廃止になり、申告分離課税に一本化されるからです。売却額の1.05%でよかったものが、売却益の26%に変わるのです。

なおここでは、この5000億円分に対する原価、すなわち株式取得時の払込額又は購入額をその20分の1の250億円とします。

2001年4月以降はこの5000億円を売却した時の税金が激増します。売却益は売却額5000億円から原価250億円を差引き、4750億円。税額は税率26%を乗じて1235億円です。つまり3月までなら税金は53億円。4月なら1235億円となります。実に23倍です。

税引後の実質財産額は4947億円から3765億円へと目減りするのです。このクロス取引は、この税制改正への対応なのです。

クロス取引による大きな節税


今回のクロス取引では、まず5000億円の株式を全部を売却しました。それに対する税金53億円も払いました。これで一つの取引が完了しました。

翌朝に、あらためて5000億円で同じ株式を同じ金額で買うという、別の新しい取引をしました。新規に5000億円で買ったのですから、この株式の購入原価は5000億円になりました。

つまり税金53億円を払いましたが、株式の原価が250億から5000億円に引上げられたのです。

4月以降この株式を5000億円で売却したとしても売却額も原価も5000億円ですから、売却益はゼロとなり税金は生じません。

今回のクロス取引がなければ、前述のように1235億円の税金です。53億円もの税金を今払ったとしても、将来の節税メリットの方がずっと大きいのです。


日本経済新聞は、売却額5380億円がこの会社の「本社所在地の山口市の今年度一般会計予算の12倍の規模」になるとの皮肉までも伝え、同様の取引をコナカやニフコの大株主もすでに実施しているとも伝えています。

5000億円も100万円も一緒


この方法は大資産家のためだけのものではありません。

5000億円でも、100万円でも税制は同じで、平等です。


以前に50万円で買った上場株が100万円に値上りしています。

3月までの売却なら100万円×1.05%=1万円の税金です。4月以降ならば(100万円―50万円)×26%=13万円の税金です。

株式を長期に持ち続けるのなら、同じことをやりましょう。3月までにこの株を100万円で売り、同時に、新たに100万円で買うのです。こうすればファーストリテイリングの社長と同じメリットを取れます。残念なことは規模が違うことだけです。

証券会社の手数料を忘れないように。法人所有や、値下がりで損をしている株は、実行する意味がありませんので、念のため。

時期を見ながら2001年3月末までに売買を実行すれば税務上はOKです。損をしないで買い戻せるようにお祈りします。


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