公正証書不動産贈与




公正証書で不動産の贈与をして贈与税を回避する方法?



バードレポート第319号2000年9月11日

7年待てば贈与税は時効


贈与を受けると贈与税がかかります。しかし悪質なものでも最長7年経過で国の課税権が消滅し「時効」になります。

Aさんは昭和60年3月14日に父親から不動産の贈与を受けました。そして贈与契約を公正証書にしました。

民法は「書面によらない贈与はいつでも取り消すことができる」また「物件の移転は当事者の意思表示だけで効力を生じる」とあります。だから公正証書という書面で贈与の意思表示により「贈与」の効力が生じ、昭和60年3月14日に贈与により土地建物を取得しました。

贈与税の申告期限は贈与年の翌年3月15日ですから、この場合は昭和61年3月15日です。しかし贈与税の申告をしません。

7年経過で贈与税は時効になりますから、7年後の平成5年をずっと待つのです。

土地建物について贈与を原因とする所有権移転登記をすれば税務署はそれに気がついて「贈与税はどうなっていますか」とのお尋ねがなされます。

税務署が気が付くのを回避するために登記はしません。登記は義務ではありませんから、贈与を受けたとしても登記をしなくてもいいのです。

そしてガス・水道の名義を親からAさんへ変更しました。固定資産税は登記名義人の親に対し課税されますが納税管理人をAさんと定めAさんが固定資産税を支払います。税務署に対し「固定資産税も私が払いガス水道も私の名義だし、昭和60年に確かに贈与を受けたんですよ。」と主張できるようにしました。

静かに7年間が流れました。

平成5年12月3日。Aさんは自分名義に登記をします。

贈与税なしで土地建物を自分のものにしてしまう相続税対策「ウルトラC」のはずでした。

が、しかし、当然に、税務署との争いになります。

税務署は贈与は昭和60年ではなく、登記を行った平成5年だとして課税処分を行いました。国税不服審判所は平成9年1月29日に次の裁決をしました。

「本件公正証書の作成目的は租税回避にあり、それ以外に特段の必要性がなかったものと推認され……実態の伴わない形式的文書にすぎず、本件公正証書によって贈与が成立したとは認めることはできない……贈与の時期は所有権移転登記がされた平成5年12月13日と認められる」

税務署は甘くありません。納税者の完敗でした。

相続税調査での昔の贈与


だからといって昔の贈与が全部ダメとはいえません。

家族名義の預金は相続税の税務調査でよく問題になります。

税務署は家族名義の預金も銀行に残高照会をします。

そして預金の名義がたとえ家族になっていても、故人の給料から積み立てられた等お金の源泉が故人のものであれば、実質相続財産(通称「名義預金」)として相続税が課税されます。

しかしずっと昔に故人から贈与を受けたものであれば、それはお金の源泉が故人であっても、既に贈与済みですから相続財産ではありません。贈与時に贈与税を払っていれば全く問題なしですが、贈与税を払っていないことをもって贈与がなかったとはいえません。単に当時の贈与税の申告洩れ課税洩れで贈与税が時効になっただけに過ぎず、相続税とは関係ないはずです。

ただし「贈与を受けた」と主張しても印鑑が故人と同じ印鑑だったりすれば「本当に贈与があったのですか」となりますが。

実質的相続財産なのか・贈与を受けた財産なのか・あるいは家族が自分で稼いで積み立てた財産なのか……長い年月の間によく分からなくなります。

そしてこのグレーゾーンが相続税の調査での税務署と納税者との戦いの場になります。

「修正申告してください」と税務署の調査官に言われて、自信を持って「いいえ」と答えるためには、財産をしっかり管理していなくてはいけません。


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