相続税自用底地物




「アパート敷地」や「自宅敷地」も物納できる…自用底地物納



バードレポート第320号2000年9月18日

ある自用底地物納


Aさんは不動産を親から相続しました。相続したのは東京都区部の築30年のアパートとその敷地です。相続税は2億円です。

この2億円が払えません。20年分割の延納にしても1年分の相続税は1000万円になります。それに金利分の利子税年数百万円が加わります。相続税は必要経費にはなりませんから所得税納税後で支払わなくてはいけません。収益力が低いアパートでは延納でも相続税が払えません。

また賃借人が数十人いて、立退きを進めるのも困難、不動産を売却もなかなか困難です。

あとは物納しかありません。

土地の更地としての評価額は7億円です。借地権割合70%の地域ですので、底地部分が30%の約2億円で相続税見合いです。

土地を借地権部分と底地部分とに分け、国に底地部分だけを2億円で物納をしました。

物納後は国が地主でAさんが借地人。Aさんは国に地代を払います。これが「自用底地物納」と呼ばれる物納です。

つまり土地は完全所有権が借地権になったものの、建物とその敷地利用権を守ることができるのです。お金が貯まれば国から底地を買戻すことも可能です。

土地の固定資産税と都市計画税は年間130万円でした。国に払う地代年額は400万円と決まりました。物納後は国が所有者になるので固定資産税等を払わなくて済みますので、実際の負担増はこの差額の270万円です。

20年の延納に比べても負担はわずかで済みますし、支払うのは延納相続税ではなく地代ですから必要経費になります。

なお地代年額はこのケースでは土地の更地相続税評価額の0.6%程となりました。それは固定資産税等の約3倍でした。

「普通財産貸付算定基準」という大蔵省の通達がありこの基準により地代が定めらます。この基準では住宅(アパートを含む)敷地の場合は相続税評価額の1.3%と算出されます。ただしこの算出地代が地代の近隣相場よりずっと高い地域も多く、その時は当然近隣相場を基準に減額されます。東京等ではこの減額で基準1.3%の半分程度とされることが多いようです。

なお店舗事務所等の住宅以外の用途の場合には地代が高く設定されますので注意が必要です。

超法規的な「自己借地権」


「底地の譲渡」は借地権の設定されている土地の譲渡のことをいいます。つまり借地人さんがいる土地について、地主さんがそのまま底地を売却してしまうことです。「底地売買」とも言われよく行われています。

ところで、自分が所有している完全所有権の土地について、借地権部分と底地部分とに分けて、底地だけを譲渡し、借地権部分を所有者に残し、譲渡後は元所有者が借地権者となってしまうという行為、つまり借地権設定者が自ら借地権を有する行為は「自己借地権」といわれ、借地借家法では例外(借地権付分譲マンション等)を除き認められていません。

「自用底地物納」はまさに「自己借地権」です。法的にはありえない行為です。しかし相続税の重さがこの超法規的行為を認めることになったようです。

超法規であれ何であれ使えるものは活用しましょう。

路線価が随分下落しましたが物納申請は高水準のままです。相続人を相続税破産から守るためには、とりあえず物納申請が必要だからです。予想した納税対策がうまくいかなかったときの安全弁が物納ですから。

「更地や底地でないと物納できない」と思い込んでしまい、「相続財産が自宅や古アパートだけだから物納できない」と物納申請をせずに相続税破産に追い込まれるケースが多くあります。

こんな時こそ物納です。国はこのような場合のためにこそ超法規的な「自用底地物納」までも認めているのですから。

なお申告期限内に物納申請がなければ国は物納を認めません。チャンスを逃してはダメです。

なお超法規的ではなく、次のように考えるとう意見もあります。ただしこう考えると借地権の取得原価は7000万円となってしまいます。

(1)1億円の更地価格で収納。

(2)7000万円が相続税額より超過なので還付する。

(3)7000万円の借地権設定対価を相続人が国に払う

(4)(2)と(3)とを相殺する。


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