不動産M&Aの終焉




不動産M&Aでの土地売買の終焉…税制改正で対価は暴落へ



バードレポート第336号2001年1月22日

合併方式の不動産M&Aの扱い…その後の動向に触れています。お読みください…リンク

2001年度税制改正については、不動産関連についてわずかな改正です。しかし企業合併・会社分割・現物出資等の企業再編税制については抜本改正です。

不動産M&A 売主事情


不動産M&Aと呼ばれる土地の仕入れ手法があります。土地を仕入れる代わりに会社を買って合併を行うという手法です。

10億円の土地だけを戦前から所有するA社があります。この株主はこの土地を売却して現金化しようとしています。

10億円で土地を売却すると4億円が法人税です。6億円が会社に残りますが、このお金は会社のお金です。お金が欲しいのは株主個人です。株主にお金を移すときには所得税がかかります。最終的に株主の手元に残るのは3-4億円でしょう。まさに税金の垂れ流しになります。

そこでA社が土地を売るのでなく、株主がA社を売ります。具体的にはA社株式100%を売却します。土地が10億円ですので10億円でA社を売却します。A社が土地を売ったのではなく、株主がA社株式を売ったのですから10億円は株主に直接入ります。また個人株主が株を売却した時の課税は税率26%で、税額は約2.5億円。株主個人に7.5億円のお金が残ります。

手取額も多いし、会社を整理する面倒もなくていいし、と株主にとっては大満足の制度です。

不動産M&A 買主事情


しかし買った側は大変です。

土地を買ったのならば、その土地でマンション分譲もできますが、買ったのは土地ではなく会社(株式)ですのでマンション分譲も転売もできません。

買い取られたA社としてマンション分譲や転売はできますが、土地の帳簿価格は低いままなので、分譲転売時に多額の法人税の課税を受けてしまいます。

そこで、買った会社はA社を吸収合併します。買った会社の帳簿上の資産は「A会社株式10億円」となっています。吸収合併すると、あら不思議、この「A会社株式10億円」は「土地10億円」に変わってしまいます。そうしてから分譲や転売します。

どのように改正になるのか


A社を買い取って合併してから転売するという、合併方式の買取仲介型不動産M&Aが主流でした。ポイントは次の2点です。

(1)個人株主が売却代金を直接受取り、税率が26%と低いこと。

(2)合併の際に課税なしで株式が土地に変わってしまうこと。

今回の改正で4月からは(2)が課税が変わることになります。

A社株式を100%買収して合併すればA社の土地の帳簿価格を引き継ぐことになります。改正前なら合併で土地帳簿価格を10億円にできたのに、A社の昔からの低い帳簿価格と同じ金額にしかならないのです。合併後にその土地を10億円で売却すればその時に合併会社は数億円の法人税課税を受けてしまいます。また100%買収しないまま買収会社がA社を吸収合併すると合併時にA社が土地を時価売却したものとみなして譲渡課税です。その納税義務を合併会社が引き継ぎますので、買収会社はM&Aの対価10億円に加え法人税数億円を払う義務を負います。改正前であればそれぞれこの数億円の課税はなかったのです。

改正によりこの合併方式のM&Aがなくなるのではありませんが、税負担を考えれば、M&Aでの買値がとても安くないと採算が合わなくなります。

もっとも、不動産M&Aでも合併を前提としないケースもあります。A社を買って新たな株主となったままでその土地を持ちつづけるのです。これなら会社合併時の課税はありません。

不動産M&Aの対価は暴落?


これまでも不動産M&Aの場合には土地を買うのに比べて3割程度の値引きがなされていましたが、これからはこの値引き幅の大幅拡大が予想されます。

「そんな低い金額なら売らない」という売主が増え、合併方式の買取仲介型不動産M&Aは終焉を迎えそうです。

改正は4月の合併分からです。


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