税務会計いいとこどり




名義人に課税がないなら、税務と会計を使い分けようか…



バードレポート2001年5月21日 第352号

森前首相のゴルフ会員権名義問題がマスコミをにぎわせました。倫理上の問題はともかくも、税務は問題がなさそうです。

税務(ここでは法人税・所得税・相続税・贈与税に限定しますが)は、実質に即して課税するとの考え方があります。

法律上登記上の所有者が単なる名義人であって、実際にはその者以外のだれかがそれからの収益を受けていたり、財産価値を確保したりしていればその誰かを実質所有者として課税の対象とする、という考え方です。

名義預金や緊急避難名義変更


相続税の税務調査では妻名義の財産が問題になります。「この預金は妻名義だから相続財産としては税務申告をしませんでした。」「いや、名義は妻でも、元となったお金は夫の収入ですよね。それならばこの預金の実質所有者は夫ですから、相続財産として申告すべきです。」といったやりとりがなされます。

名義を他人に移すと贈与税が原則ですが、過酷な債権者の取立に追われての緊急避難目的での親族知人への形式的な所有権移転登記をすることも時としてあります。これに対して「贈与課税する」などとヤボを税務署は言いません。このような「やむを得ない理由による名義借用は贈与税をかけない」趣旨の通達の定めまであります。

タダで使う利益への課税


森前首相の場合には本当の所有者との間で「真の所有者はだれだ」という確認書を作っていたようです。それにより実質所有者を確定していました。だから「贈与税」は回避できました。

また、「人のものをタダ(実費負担)で使って税金はかからないのか」の報道もありました。

個人間の場合にそれはよくあることです。個人間で利息ゼロでお金の貸し借りをしても、親の自動車を子がタダで使っていても、通常は利息や使用料相当額の贈与税の課税なんてありません。また親の土地に子がアパートを建てて、子が土地をタダで使っても問題はありません。

ゴルフ会員権の名義を移すこととそれをタダで使うことは別の問題ですが、どちらも税務は問題なしということになります。

(タダの貸し借りは当事者のいずれか一方が個人でなく法人となると課税問題が生じます。)

税務と会計は別だから


「(大手私鉄の)阪急はバブル期などにゼネコン各社と代行取得の契約をし、不動産の取得を依頼。地価下落によって多額の含み損が発生し、阪急の子会社が土地と契約を引き継いだ。その際、本体が最終的に土地を引き取るという契約があったことから、子会社の土地を簿価で引き取った。(日経2001.5.2)」

10億円で不動産購入契約をしたが、急落したので含み損隠しのために契約を子会社に引き継がせた。土地は3億円に値下がりした。しかし連結時価会計対応のために、その土地を親会社が10億円で引き取り、親会社として含み損の処理をした、ということのようです。

この記事は税務には触れていませんのでどのような税務処理だったかは不明です。

もしこの契約に「値下がりしても親会社が引き取り面倒みるから子会社に迷惑をかけない。」という内容、つまり「買戻条件」のようなものが入っていたとすれば、売却損益は課税が生じなかったかもしれません。

親会社に10億円で買い戻す義務を残したのだから実質的な売却はなかったのだと考えることもできます。

関連会社間での「買戻条件付売買」は、会計上では売却したことにしても、税務では売却したことになっていないという扱いが可能にもなるようです。そうなれば原価10億円のものを3億円で売却したとか時価3億円のものを10億円で売ったとかの課税回避も可能かもしれません。


まさに課税回避をしながら会計上のお化粧するための手法ですが、投資家や金融機関、時に監査人までもがこのようなお化粧にだまされているようです。


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