減損会計で不動産は




固定資産の減損会計により企業所有地放出はまだ続く



バードレポート2001年7月23日 第361号

10億円で土地を買いました。会計上では、資産として土地10億円と計上します。その後不動産の価格に上下があっても帳簿価格はこの10億円が続きます。これが「取得原価主義」という現在の会計制度の基本です。

取得原価であっても時価での評価減適用があります。上場企業は、著しく下落(おおむね50%)した販売用不動産については評価減が強要されています。

10億円で仕入れたまま販売見込額がその半値以下の4億円になれば、値下がり損6億円を計上しなくてはいけません。一生懸命かせいだ本業の利益を評価損が吹き飛ばします。

固定資産の減損会計


今のところ賃貸ビル等は取得原価主義が適用されており、販売用不動産のような時価での評価減の荒波をかぶっていません。

今問題となっているのは「固定資産」をどうするかです。

特に「企業が自ら使用するもの及び棚卸資産を除いた、賃貸収益又は資本増加を目的として保有する不動産」と定義された「投資不動産」について特別に議論されています。それは工場や本社ビル等の「固定資産」と賃貸ビル等「投資不動産」を別のくくりとするかについてです。

旧来の日本の感覚では賃貸ビルのように長期保有のものは本社ビルと同じくすべて固定資産でくくりますし、それを不思議とも思いません。しかし国際会計基準では別扱いになりますし、そこでは、減価償却をせず、毎期末に時価評価をし1年間の時価変動差額を減価償却費に代えて損益計上するという、日本では驚くような考え方もあります。

審議の経過報告


企業会計審議会の固定資産部会が固定資産と投資不動産の扱いを1年間議論し、2001年7月6日に経過報告を公表しました。

●「減損会計の適用時期については十分な期間を置く必要がある。」…いつから減損会計適用かの結論は出せませんでした。

●「投資不動産については、減損会計を適用する。」…毎期時価評価はしないが減損会計の適用をすることになります。

「減損会計」とは単純な「時価評価」とは違います。取得原価を基準としながらも、売却価値(売却手取額)と使用価値(将来キャシュフローの現在価値)のいずれか高い方を評価額と認識し、一定の約束事のなかで評価を見直して、評価減をするという会計制度です。


部会メンバーには不動産会社・製造業・生保・ゼネコンの財務担当者が顔を並べます。これら業界では固定資産を減損会計の適用にしたら会社が吹っ飛ぶところも多いはずです。

カネはかけたが低収益の工場、採算割れ店舗、本社ビル、社宅、遊休地等。そして投資不動産。

減損会計で不動産放出へ


減損会計により、企業は不動産、特に賃貸不動産の所有購入をしなくなります。所有購入が禁止されるのではないのですが、所有することとは企業業績へのゆがみが生じさせる原因だと覚悟することになりますから。

賃貸ビルを購入して、不動産価格が下落すればそのまま損失計上ともなるからです。それは本業の業績とはかかわりなく生じてしまう損失です。

上場企業のサラリーマン社長の多くにはその覚悟はないでしょう。だから新規の不動産購入はできる限りしなくなります。また不動産の含み損を隠し続けることもできません。当然に売却に向かい、企業は不動産の買い手ではありえなくなります。

減損会計は2003年3月期導入見込みでしたが、時期の見通しは見えなくなりました。企業財務担当者は一息ですが、日本だけが国際標準に背を向けてはいられません。数年後には必ず始まります。それは企業所有地の今以上の放出を意味します。

また、体力のある優良企業は、国内基準がどうであれ、率先して国際会計基準に従い減損会計を行い信用維持に向かいます。

非公開企業はこの減損会計に従う義務はありません。


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