物納実務と土地家屋調査士




物納の実務…お隣さんの協力と土地家屋調査士さんの力量次第改正



バードレポート2001年8月20日 第364号

最近は売却前提の更地の物納申請も多いようです。高い金額で売れるのなら物納申請を取下げて売却するがダメなら物納でいく、という戦略です。

具体的な物納手続


物納のためには、3つの面積を揃えなくてはいけません。「登記面積」「実測面積」「相続税申告書での面積」です。貸宅地物納ならこれに「借地契約書記載の面積」が加わり4つになります。

まずは測量です。実測面積にあわせて登記面積を直します。「地積更正登記」と呼ばれる作業です。民間売買ではここまでしないことが多いでしょう。これが第一の難関です。

「登記面積」と「実測面積」の差がわずかなら地積更正は不要です。しかし縄伸びが普通ですので、多くの場合に地積更正登記が必要になり、登記には隣地所有者の実印・印鑑証明書添付が原則必要です。お隣の印鑑証明書を頂くのにまず苦労します。

税務署にはこれと別途に測量図やお隣さんの隣地境界確認書(実印でなく認印)を提出します。

公道と接していれば官民間の道路境界査定が必要です。しっかりした境界標設置も必要です。

次は隣接地境界線上の塀。境界線を挟んでの背中合わせの二つの塀ならいいのですが、境界線上にお隣単独所有の塀があったりすると面倒です。「将来改築等するときは撤去移動する」との確認書をお隣から頂きます。

お隣の樹木がこちらに越境していれば伐採してもらいます。こちら側の樹木についても同様に伐採した上で「樹木は放棄する」との確認書を入れます。

かつて物納地から防空壕跡が出たりガラが埋まっていたりで、国は随分苦労したようです。そのために今では「埋設物が出てきたら私の責任で処理する」との確認書提出を求められます。

こうして税務署や財務局の担当官が実際に現地確認を行ってから収納となります。

なお、無接道等の建物建築不可の土地や市街化調整区域では物納は原則不可です。市街地山林では接道条件等で苦労します。

物納の成否はお隣との関係


このように物納にはお隣の協力が不可欠です。お隣と不仲なら物納は不安です。お隣が夜逃げ行方不明だと印鑑とれず物納は危なくなります。お隣が区分所有のマンションならば隣接地はその区分所有者全員の共有ですので、これも要注意です。その全員の印鑑が求められることもありえます。お隣が相続財産分けでもめていても同様です。

道路査定未了の土地も要注意。道路幅が狭い広いでもめると道路を挟んだお向かいの印鑑までもが必要になります。

物納の成否は、お隣さんの協力と実務を行う測量士・調査士さんの力量にかかっています。

また測量で面積が増減すれば相続税額も変ります。面積が増えるとたとえ悪意はなくとも、相続税も増加し加算税までかかります。ただし納税可能額が増えることなので全体としては、それはいいことなのですが。

税務署の徴収部門と課税部門


その土地を収納するか否かの権限を有するのは財務省財務局です。しかし納税者の窓口は税務署や国税局の「徴収部門」なので、納税者が財務局担当者と直接に接することはまずありません。せいぜい現地立会いに来たときに挨拶する程度でしょう。

税務署の徴収部門が納税者と財務局との仲介人の役割になります。物納財産を国の基準を満たすように納税者に指示する一方で、特殊な事情があった場合には納税者の立場に立って財務局を説得してくれます。

税務署の物納担当者の仕事は「納税者の納税をスムーズに進めること」です。だから通常イメージする「恐い」税務署とはかなり違います。納税者の立場にも立ってもらえます。

ちなみに相続税の税務調査は同じ税務署でも「課税部門」です。こちらは納税者に厳しいところ。

「課税部門」と「徴収部門」とでは納税者にとってのお付合いの仕方が全く異なります。


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