REIT課税と所得税




不動産投資信託への課税・その個人投資家への税金



バードレポート2001年9月10日 第367号

注意…その後税制改正があります。

このページ下部をお読みください。

不動産投資信託への課税


不動産投資信託(日本版REIT・リート)とは投資法人という不動産を所有する法人です。その株式が投資対象になります。法人ですから法人税課税対象です。

株主への利益配当は経費(損金)にならないのが大原則ですから、法人税を支払った後の利益から株主への配当をします。

しかし投資法人には配当を経費にできる特例があります。利益全額を配当すれば法人税はかかりません。これには配当可能利益の90%超を配当すること他の条件が付されていますが。

配当可能利益とは減価償却後利益です。この利益を全額配当しても減価償却分の現金は投資法人に残ります。減価償却は支出のない計算上の経費だからです。減価償却分を投資家に分配するしないは各投資法人の自由です。(投信協会自主ルールでは減価償却分配は最大60%まで)

なお90%超が条件だからと91%配当したつもりが、その後の国税の税務調査で89%となってしまうと、配当の全額がそっくり課税対象となり法人税が生じその投資法人の資金繰りは破綻しかねません。税務上はなかなかスリリングな仕組みです。

投資法人への不動産取得税登録免許税の減免制度もあります。

不動産所得か配当所得か


不動産投信(ここでは公募のクローズドエンド型)は不動産投資のようですが、投資家には不動産税制でなく株式投資として有価証券税制が適用されます。

個人が家賃相当額として不動産投信の配当を受け取っても、それは不動産所得ではなく配当所得です。配当所得ならまずは20%源泉徴収ですので、税金が少なく感じてしまいます。

確かに1銘柄年配当10万円以下ならばこのままで申告不要です。(
投資金額が200万円として利回り5%だとすれば配当年額がこの10万円になります。)

しかし10万円を越えると確定申告が必要になります。総合課税として他所得と合算し申告し(配当控除適用なし)算出税額から源泉された税額を精算します(年収2000万円以下の給与所得者は20万円まで申告不要の特例あり)。預金利子なら上限額の制約なく20%源泉で申告不要ですが、不動産投信の分配は利子でなく配当なので申告が必要です。

それでも配当額が年50万円未満なら35%を所得税分として源泉徴収してもらい、所得税を申告不要にする特例はあります。ただしこの35%は所得税分ですので別途住民税について総合課税での申告納付が必要です。住民税は課税所得700万円超なら税率13%です。合計で48%にもなります。(投資額1000万円で利回り5%なら年50万円です。)

問題は減価償却部分が分配された場合。この部分は利益ではないので資本払戻しとして、みなし配当や譲渡とされて複雑を極める申告課税になります。減価償却部分の分配は前述のように各不動産投信の任意ですが、この課税問題のために上場不動産投信は分配をしないようです。

不動産所得なら減価償却やその他経費により赤字にもなり、損益通算での節税も可能です。

しかし配当所得にはこれら経費はなく赤字になりませんので節税ということもありえません。

不動産譲渡か有価証券譲渡か


売却時の扱いも違います。

個人での投資用不動産売却なら、短期譲渡の税率は52%以上、長期は26%の申告分離課税です。売却損なら損益通算も可能ですし、青色申告なら損失の翌年以降3年間の繰越も可能です。

不動産投信の売却損益は有価証券譲渡益として個人なら申告分離・源泉分離との選択です。

申告分離ならば長期短期にかかわらず売却益に対し26%課税です。売却損は、現行では、株式売却益以外の他所得と通算できませんし、翌年以降への繰越も認められません。

上場された不動産投信なら源泉分離選択ができます。実際の利益にかかわらず、売却額に対し現行1.05%の源泉徴収で譲渡課税を済ませることが可能です。



不動産投資信託と現物不動産…利回りと配当の仕組みが違う

バードレポート2001年8月6日 第362号

バードレポート2002年12月16日第428号より抜粋

2003年度税制改正について

上場不動産投資信託への期待


上場株式等の配当に対する課税が大きく変ります。

現在の上場株式等の利益配当に対する扱いは複雑です。1銘柄1回(半期)5万円以下の配当なら源泉徴収20%で確定申告不要課税完結です。一方で1回25万円以上なら源泉徴収をされた上で確定申告が必要になり最高税率50%(一部控除あり)適用です。

現在の不動産投資信託は1口なら間違いなく1回5万円以内ですので確定申告不要ですが、多額になると最高税率50%です。

上場株式は平成15年4月から平成20年3月まで地方税を含め源泉徴収10%(平成20年4月以降は20%)で申告不要課税完結と改正します。つまり税率最大50%が一律10%になるのです。

高利回り上場株式は税制上では魅力的な投資先になります。

そして上場不動産投信までもこの対象となれば大変なことになります。上場不動産投資信託の配当に対しても同様の扱いになると一部で報道されましたし、税制調査会の検討資料にはしっかりその旨が明記されていました。(今回の税制改正大綱ではそこまではっきり読み取れず未確認です。「一定の上場株式等」との表現になっています。)

もし上場不動産投資信託に対しても同様の扱いとなるのならば、上場不動産投資信託は現物不動産に比べて極めて有利な不動産投資商品になります。

個人が10億円で現物不動産を購入して不動産所得5000万円なら税金は最大2500万円(50%)。一方で10億円の上場不動産投資信託を購入して利益配当5000万円なら税金は500万円(10%)。

バードレポート2002年12月23日第429号より抜粋

2003年度税制改正について

不動産投資信託への配当課税


上場株式からの株式配当への課税が大きく変ります。金額が大きければこれまで最高税率50%の総合課税だったものが、10%源泉徴収で課税完結になります。税制改正大綱上では上場不動産投資信託の利益配当への扱いが明確ではありません。

国土交通省の資料には上場不動産投資信託も上場株式と同じ取り扱いとなるとあります。

「1400兆円にのぼる個人金融資産を不動産市場に一層呼び込むため、Jリートについて、●個人配当課税の申告不要の上限撤廃●源泉徴収の税率を5年間10%(基本税率20%)、を始め、Jリートについて、株式とイコールフッティングをとった税制改革を行う。」

上場不動産投資信託は現物不動産投資に比べ、税務上圧倒的に有利な商品となります。

不動産投資信託と上場会社株式への投資の扱いが同じになることにより、貸ビル業その他不動産賃貸専業の上場会社の存在意義が問われることになります。

もしその上場会社が不動産投資信託であったなら、制度の仕組みから利益配当も多額となり、投資家メリットは膨大なのです。


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