債権放棄ガイドライン




金融機関による債権放棄のガイドライン…中小企業は困難?



バードレポート2001年9月24日 第369号

金融機関からする債権放棄のガイドラインが決まりました。全国銀行協会と経団連が中心になり2001年9月19日に公表され直ちに適用されました。

それは「私的整理に関するガイドライン」といい、民事再生法等の手続によらないで、債務者と金融機関の合意に基づいて債権の明確な猶予減免を行うもので、多数の金融機関がかかわるものを前提としています。

大手ゼネコン各社に対して行われた債権放棄をルール化したものといっていいでしょう。

銀行からの個別の債権放棄はこのガイドラインの対象外なので自由に行われていいはずですが、このガイドラインができた以上は実質的に困難になったのではないでしょうか。

債権放棄の対象と流れ


債権放棄の対象となるのは、重要な事業部門で営業利益はでてはいるものの、借金が多すぎで経営困難というような会社です(他に様々な条件あり)。

この会社と主要取引銀行(複数が原則)とが協議して、その他すべての金融機関に「一時停止」を通知します。通知を受けた金融機関は、競売や相殺その他無茶な回収をストップし、かつ与信残高(手形貸付や当座貸越等の通常資金繰り分)を維持します。通知の対象は金融機関だけというのが原則です。

それから2週間以内に第1回債権者集会を開き、それから短期間(3ケ月以内を想定)で債権放棄を決定します。

うまくいけばとてもスピーディーな解決です。民事再生法等では一般取引先を巻き込むのが通常ですが、これなら金融機関だけを相手にしますので一般取引先に迷惑をかけずに済みます。

中堅中小企業の経営者は


銀行は大手ゼネコンに債権放棄をしても中小企業には債権放棄をしてくれませんでした。ガイドラインに期待していた中堅中小企業は少なくありません。

大企業なら経営者が変っても問題ないでしょうが、中小企業はその経営者がいるからこそ会社が成り立っている、というのが普通です。経営者交代は困難です。ですから民事再生法では中小企業の再生を考え経営者をクビにすることまでは求めませんでした。ところがこのガイドラインでは経営者のクビが前提です。民事再生法より厳しいのです。もちろん退任して裏から実質的に経営支配することは実務上可能でしょうが。法的整理以上に厳しいものなのです。

メインバンクはどうするか


ガイドラインの想定している対象は大企業のようで、中堅中小企業に使えるかは疑問です。

金融機関ごとの債権放棄割合が、平等とは定まっていません。つまりメインバンクが過大な負担をすることも想定しています。そしてそのメインバンクが中心になって他の金融機関に通知等をするのです。

ちなみにこの債権放棄は金融機関すべての同意が前提となっています。ほとんどすべてが同意したからといっても反対の金融機関はそれに応じる義務はありません。強制力はないのです。

メインバンクにとってはどうしても守らなくてはならない取引先以外に対して、このような面倒な手法をとるとは思えません。このガイドラインでの債権放棄なら、メインバンクは他の金融機関に遠慮し妥協し、今後の資金繰りや再建計画の面倒まで面倒みなくてはなりません。

「並み」の取引先に対してはそれよりも競売や法的整理を金融機関が望むのが当然です。

バブル不動産借金の清算は


「技術・ブランド・商圏・人材などの事業基盤があり、その事業に収益性や将来性があること」等が対象会社の前提となっています。果たして不動産賃貸事業が対象となるのでしょうか。不動産賃貸は事業からの収益というより資産からの収益です。

金融機関はここでもこのガイドラインより売却や競売や法的整理を選ぶでしょう。そしてこのガイドラインが定まったためにその流れは加速しそうです。


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