空中権と余剰容積率




高度商業地での建替え…容積率を買ったり飛ばしたり



バードレポート2001年11月19日 第376号

松坂屋さんが東京銀座店の建替えに向かいます。店舗隣接ビル2棟も買い取り、店舗周辺の総面積は6000平方メートルになっています。

三越新宿南館跡に出店した大塚家具さんから「銀座店をまるごと貸してもらえませんか」との打診もありましたが、百貨店としての規模拡大を目指し攻勢に出ます。(日経流通2001.11.8)

さて銀座の表通りの容積率は800%です。松坂屋さんは単純に計算すれば6000平方メートル×800%=4.8万平方メートルのビルが建ちます。隣接ビルを買い取ったことも大きなビル建築に貢献します。

再開発で容積率移転


もっと大きなビルを建てたいならどうしたらよいでしょう。

お隣と一体で再開発をすることです。再開発での容積率割増ボーナスも期待できます。

容積率移転も可能です。「一団地の総合的設計制度」等で全体を設計再開発することで再開発敷地全体の容積率を各建物に任意に配分が可能になります。


お隣には金銭等で調整した上で小さな建物で我慢してもらい松坂屋さん部分には大きなビルを建てるのです。つまりお隣の容積率を使ってビルを建ててしまうのです。新宿のオペラシティーや東京駅前の新丸ビルはこうして大きなビルを建てました。

お隣の容積率を使う


問題はお隣に既に建物があり、新築をしない場合です。つまり既存ビルが建て込んでいればこの手は使えません。既成の商業地はこの問題がネックです。

そこで1999年5月から「連担建築物設計制度」が始まりました。これはお隣の既存ビルの余剰容積率を移せるというものです。

容積率を使い残しているビルがお隣にあれば、その余剰容積率を買ってしまい、自分の新築ビルで使えばいいのです。

容積率を飛ばしてもらう


しかし銀座あたりではお隣のビルすべてが容積率を使い切っていることが多いはず。そうするとこの手も使えなくなります。

2000年の法改正で「特定容積率適用区域制度」が始まりました。お隣はダメでしょうから、離れた土地の既存ビルの容積率を使ってもいいという制度です。

法律案当時の建設省のイラストは、道路を跨いで隣接ブロックにあるずっと離れた建物の余剰容積率を飛ばすことまで可能のようになっています。松坂屋さんのケースに適用可能なら、隣接地でなくとも離れた土地所有者に話をつけてそこの余剰容積率を買ってくればいいのです。


そしてその容積率を銀座表通りで使うのです。料亭・神社仏閣・小学校等と、容積率を余らしながらも建替えも売却もしない建物も多くあります。その所有者にとって現在の建物はそのままで容積率だけ売れるなら魅力です。松坂屋さんならその容積率を銀座の表通りで使うのですから多少高くても買えます。(なおこの特例の適用可能地域については都市計画決定がされなくてはいけません。)

これまではその容積率はその土地でしか使えませんでしたが、その容積率をどの土地で使うかを考えられる時代になりました。

銀座の街並みを守るため


松坂屋さんの近くに超高層事務所ビルが建築されました。大きくセットバックし緑地をとっています。しかし店舗がぎっしり建ち並ぶ銀座の街並みをそのビルが壊してしまい、地元の東京都中央区は気に入りません。銀座には建替促進のための容積率割増制度等がありますが、一階は店舗飲食に限定させて勝手なセットバックを排除することにして街並みを守ります。

銀座には古いビルも多く既存不適格の百貨店等もあるようです。外見上そうは見えなくとも地下が何層もあり容積率オーバーしている場合があるのです。新しい容積率の制度はそれらの建替え促進のためにもあります。

もっともその銀座の料亭跡地に定期借地権による超高層マンションが建築中です。東京の銀座においてすら商業系より住宅系利用の方がより効率的利用となってしまったのでしょうか。

連担建築物設計制度は建築基準法86条(2)、特定容積率適用区域制度は同法52条の2です。


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