匿名組合源泉課税




税制改正で外資の不動産投資に冷や水?…匿名組合源泉課税



バードレポート2001年12月24日 第381号

数人で資金を出し不動産投資する簡単な方法は「任意組合」です。投資家10人が1億円づつ出し10億円の投資をし、持分10分の1づつで共有登記をします。

「匿名組合」方式とは・・・


「匿名組合」とは投資家が文字通り「匿名」となる方法です。「任意組合」では不動産登記簿に投資家の名前が出ます。名前を出したくない投資家もいます。各投資家に破産や相続等も起こることでの安定性に不安もあります。「匿名組合」ならばそのような心配を解消できるのです。

「匿名組合」では、各投資家は胴元の会社に金銭等を預けて配当を受けるだけです。登記簿をみても匿名組合の胴元の会社の名前だけです。投資家は対外的には「匿名」になり、対外的な取引は胴元の会社の名前と責任によることになります。


海外投資家が日本に投資するにあたって便利なのがこの「匿名組合」方式でした。日本に匿名組合の胴元とする会社を設立し、匿名組合出資としてこの会社に海外から資金を送金し、不動産の取得その他全てをこの会社名義で行います。外見は日本の会社でしかし実態は海外投資家のものという形式が可能です。

メリットは税制にもあります。国内投資家が匿名組合を使い不動産投資をしても法人税課税を受けるのは当然です。しかし国内に施設がなく代理人もいない海外投資家に抜け道があります。

出資者が10人以上の匿名組合出資への配当は日本国内では法人税の課税がないのですが、海外送金に際して20%等の源泉徴収がされることで税金が日本に残ります。しかし出資者が10人未満ならその配当について日本の法人税の申告義務がある一方、海外送金の際に源泉徴収が不要なのです。日本の不動産で儲けた利益を海外に全額送金するのはいいけれどチャンと日本の法人税の申告納税をしてください、という仕組みになっています。

租税条約という税の抜け穴


そしてもっと大きな抜け穴があります。租税条約です。例えば日英租税条約には特約があります。当ケースなら日本にでなく投資家居住地(英国の会社なら英国)に申告納税すればいいとの解釈がされているようです。

そうすると出資者10人未満なら海外投資家に配当を送金する際に源泉徴収は不要であり、その配当に対する課税はその送金先の居住地(つまり英国)が行うことになります。日本に税金は1円も残らないのです。


日英租税条約は例えば英国領ヴァージン諸島にも適用されます。アメリカの投資家はこの島にペーパーカンパーニーを設立し形式的に資金を動かします。そこから日本に資金を動かして匿名組合を経由し不動産投資を行います。その収益を配当として日本からこの島に送金します。このときに源泉徴収は不要となり日本での法人税課税は租税条約によりできなくなるのです。

海外の投資家の関心事は投資に対し何%のリターンがあるかです。本来なら10%のリターンがあるものでも仮に2割分の税が差し引かれればリターンは8%になってしまいます。合法的な抜け穴があればそこに向かうのは当然ともいえます。日本の投資家がヴァージン諸島に投資してそこから日本の不動産に投資することさえもありえます。

税制改正で外資の投資に影響


税制改正で出資者10人未満の匿名組合出資に対する海外への配当が源泉徴収の対象となります。租税条約は変えられないので源泉徴収の改正をするのです。

2002年4月以降の配当支払い分から適用で、既存の匿名組合もその対象です。国税当局は抜け道をふさいだのです。

「外資ばかりが儲けてくやしい」とお考えの向きにはスカッとする税制改正です。

しかし海外投資家は冷徹です。単に日本に対する匿名組合方式による投資リターンが源泉税分だけ低下したと考え、その前提で世界中の投資先を比較するだけです。外資による日本投資に影響や変化が生じるはずです。

訂正です

訂正…メールマガジンの読者の方からご指摘をいただきました。訂正させていただきます。

「日本は憲法の次に条約がきてその下に法律があるという解釈なので、アメリカのように法律の改正によって条約上の免除を修正できません。従って2002年4月以降も「租税条約に基づく源泉徴収免除の届け出」という紙を1枚出せば(英国の)匿名組合投資家に対する配当に源泉徴収はかからないことになります。」

また、日英租税条約の英国領ヴァージン諸島への条約適用は2001年1月1日以降廃止されています。



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