資力喪失と譲渡税




自分の借金を返済するための不動産売却は非課税になるか



バードレポート 2002年2月18日 第388号

他人の保証人になってしまったために不動産売却に追い込まれた場合には譲渡税に特例があります。保証債務履行をするために不動産を売却しその主債務者が破産状態になる等で求償権行使不能となれば譲渡税が非課税になります。

自分の借金弁済のため


しかし自分の借金を返済するために不動産を売却しても非課税とはならないのが原則です。

銀行から1億円の借金の返済を迫られて、所有する不動産の「一部」を1億円で売却したとしましょう。売却代金はすべて銀行への返済に回わして手許にお金は残りません。しかし譲渡税はかかります。長期所有なら税率26%です。この税金分について別途工面するか、税金分を見込んで多めに売却することが必要になります。

つまり自分の借金返済のために土地を売却しても譲渡税は課税されるのです。

それでもそれなりの特例はあります。「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における、担保権の実行としての競売等の強制換価手続による資産の譲渡による所得」や「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難でありかつ強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得でその譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたもの」は非課税となります。

分りやすく言えば、無一文になり競売になった場合と、無一文になって競売寸前の状況で任意売却に応じた場合でしょう。

「無一文」とは


たくさんある土地の「一部」を売却し借金を返済する場合や、別に多額の預金等がある場合にはここでの「資力を喪失して債務を弁済することが困難」だとはいえません。その場合には非課税になる余地はありません。

不動産等の全財産を売却しても返済不能の借金が残る場合に限定されると考えておいた方がいいでしょう。任意売却でなく競売になったとしても無一文でなくては非課税になりません。

具体的な判断は「債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合をいい、これに該当するかどうかは、これらの規定に規定する資産を譲渡した時の現況により判定する。」となっています。

要するに債務超過のままであって、当面いくら頑張っても返せない状況、ということです。

その状況かは売却時点で判断するということで、それはその後にガンガン稼ぎ金を貯めたとしても非課税が後で取消にはならない、という意味になります。

「弁済に充てる」とは


任意売却の場合について「当該債務の弁済に充てられた」かどうかは、売却代金の全部が売却に際して借入金の弁済に充てられたかどうかで判定することになっています。

この取り扱いにはがっかりさせられます。1億円で売却し金融機関に1億円弁済すべきところを、金融機関の好意で「再起のための軍資金として1000万円を残してあげる」ということも全くないともいえません。しかしそうなると全部弁済したのではないので、この特例は使えなくなってしまいます。

残してもらった1000万円に対する課税でなく、全体1億円に対する課税となってしまいます。

税務調査と納税


非課税に該当しなければ税務署の調査官が課税処分をします。

しかし調査官の仕事はそこまで。その税金が回収できるか否かは仕事ではありません。滞納となれば税務署や国税局の滞納整理の専門家に回されます。そしてその専門家が取り立てに行ったとしても払えるお金がなければ、たとえ課税されても払えないということで一件落着してしまうこともあるのですが…。


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