財産分与と詐害行為




離婚の財産分与や慰謝料は詐害行為として取り消されるか



バードレポート 2002年4月8日 第395号

借金だらけの亭主にあいそをつかした女房が離婚をきりだす。

世の中に多い話です。借金だらけでも財産や収入もそれなりにある、ということもあります。また本当の離婚なのか、離婚したことにしたのかは、他人がうかがい知ることはできません。

財産分与は詐害行為か


Aさんは多額の借入を残し不渡りとなります。その妻はAさんの不貞と経済的理由により翌月に離婚します。慰謝料を含めた財産分与として1000万円の土地が妻に登記されました。

債権者は「Aさんは債務超過だから財産分与はできないはず」「債権者を害する目的の詐害行為だから取り消せ。土地をAさん名義に戻せ。」と訴えます。Aさん名義に戻してからその土地から回収を行いたいのです。

最高裁(昭和58.12.19)は債権者の訴えを退けました。

「分与者が債務超過であるという一事によって、相手方に対する財産分与をすべて否定するのは相当でなく、…相当な財産分与を受けることを妨げられないものと解すべきである。」

「離婚に伴う財産分与は、財産分与についての法律の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託された財産処分であると認めるに足りるような特段の事情がない限り、詐害行為とはならない。」

つまり夫が借金だらけだからといって財産分与ができないことはなく、また正当な財産分与なら詐害行為の取り消しの対象にもならない。ただしやり過ぎは駄目だよ、という判決です。

債権者に追われていても無担保不動産や預金があれば、もし本当に離婚するのなら正々堂々とそれらを財産分与できます。


男と女はわからないもの。その後男が自己破産して借金がきれいになり、また再会して同じ相手と一緒に人生を過ごすことだってあるでしょう。相手が分与財産を持ち続けていたなら、結果的に離婚のお蔭で財産を守ったことになります。

さて問題は「特段の事情がない限り」という限定です。

過大な慰謝料は詐害行為


Bさんは6000万円の借金があります。債権者は給料差し押さえができる状況です。Bさんは結婚後3年の妻と離婚します。Bさんが働かず酒を飲み暴力を振るうのが理由で、離婚条件は妻が再婚するまで毎月10万円の生活補助をし、慰謝料2000万円を支払う、というもので、もし払わなければ強制執行が可能な内容の公正証書にしました。

その後債権者はBさんの勤務先に給料差し押さえを求めます。追いかけるようにBさんの元妻も慰謝料未払いを理由に同様に差し押さえを求めます。Bさんの勤務先は「どちらに払ったらいいか不明」と供託し、債権者は全額自分に払えと訴えます。

最高裁(平成12.3.9)は一部を詐害行為と認めました。

「離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意は…詐害行為とはならない。しかしながら、負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、…その超えた部分については、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約ないし対価を欠いた新たな債務負担行為というべきであるから、詐害行為取消権の対象となり得るものと解するのが相当である。」

つまり慰謝料とは不貞その他離婚のやむなきに至ったことへの損害賠償額であり、その賠償額は詐害行為にならない。しかし慰謝料がこの賠償額としてあるべき金額を超えれば、その部分は駄目だよ、という内容です。

正当な損害賠償額を算定しその額と債権者の債権額とに応じて給料差し押さえの額を決定しろ、となりました。なお具体的金額を最高裁は判じていません。

正当な金額であれば慰謝料でも他の債権と平等に扱われます。給料を債権者に取られるくらいなら、長年世話になった女房に持っていかれたほうがいい、と思う気持ちもよくわかります。

ただし理解のある勤務先でなければそれも大変でしょうが。



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