定期借地マンションスラム化恐怖




定期借地権方式による分譲マンションのスラム化の恐怖



バードレポート2002年10月28日 第421号

定期借地権方式の分譲マンションは10年で累積で1万戸です。

ある定期借地マンションの説明を聞き愕然としました。その建物は100年住宅で100年は使える建物。今の建物は長持ちします。しかし借地契約で50年後に取り壊しと決まっています。

多くの定借マンションは50年後建物取り壊し更地返還です。半世紀後の経済情勢次第では、地主に建物を無償譲渡し地主が建物を使い続けることになるのだろうと予想します。しかし契約上では取り壊しは義務です。

建物は長持ちするか


「50年も経ったら建物はもうスラムだ」という議論が定期借地制度が始まった頃にありました。「建物は長持ちしない」と私達は思いがちです。

エンパイアステートビルは1931年築。築70年です。日本でも三越本店(1927年築)や高島屋日本橋店(1933年築)が築70年。関東大震災の義捐金で設立された同潤会が建てた住宅が各地に残っており、これらも築70年です。賃貸だったものが各戸に払い下げられたこともあり管理不充分で老朽化し建替えも進んでいます。しかしエントランス等立派な駆体部分もあります。

日本では戦争のために築50年の良質なビルが存在しないのです。数少ない築70年ビルの次は戦後復興であわてて建てた低予算ビルです。長持ちする良質なビルを知らないだけなのです。

スラム化の恐怖


「50年後には私は死んでいるから、定借マンションに住んでもいいよ。」「あなたは老後になってから、スラムに住む覚悟はあるのですね。」

取り壊しまでの残存期間20年となったときにどのような修繕計画が進められるのでしょうか。多額の負担を要する修繕は行われるのでしょうか。あと10年あるいは5年となったときには…。

きちっと管理と修繕がなされるでしょうから心配はないでしょう。しかし万が一、適正な管理修繕が行われなければスラム化の危険です。借地期限があるので定借マンションに建物建替えの選択肢はありえません。

「50年後には私は死んでいるから、定借マンションを販売してもいいよ。」50年後にはそのマンション販売の責任をとるべき担当者は誰も残っていません。

戸建住宅ならば建替えを含めその敷地や建物をどうするか借地人単独で意思決定できます。しかし駆体が共用部分であるマンションではそうはいきません。

現在の定借マンションが所有権物件に比べて低価格なのは、そのようなリスクがあるからと考えるべきではないでしょうか。

土地所有をせず期間限定だから安いのではなく、スラム化のリスクをも負うから安いと考えるべきなのではないでしょうか。

譲渡特約付定借とつくば方式


スラム化の問題は借地借家法改正時には大いに議論されましたが、うやむやのまま現在の更地返還の定期借地権による定借マンションが主流となりました。

建物譲渡特約付定期借地権を活用して賃貸マンション経営というニュースも流れています。この方式は期間50年以上ではなく30年以上の定期借地であり、期間満了時には建物を「相当の価格」で地主が買い取ります。

建物の買い取り価格を契約時に確定できるかといった問題が法律上の難点のようです。しかしそれでも建物の価値を維持するためにメンテナンスを続けることでスラム化させないというインセンティブは働きます。

スラム化の議論を意識して生まれた「つくば方式定借マンション」があります。建物譲渡特約付定借をも使い建物価値を高め土地所有者と建物所有者との調整を図る工夫をしています。しかし面倒な仕組みのためか大手デベロッパーがこの方式を採用したという話は聞きません。

定期借地制度制定の時代背景には「土地供給推進」がありました。現在は何もせずとも「土地供給」が進む時代です。定期借地制度が不要なほどに商業地の土地価格は下がっています。

「つくば方式」の定期借地権マンションはすでに3棟目。
バードレポート 1997年4月21日 第156号





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