相続時精算課税制度と資産家




資産家にとっての新贈与制度…相続時精算課税制度



バードレポート第432号2003年1月20日

贈与税は「誰からの贈与であるかにかかわらず、ある人が一年間に受けた贈与額」に対しての税金です。一年間に110万円超の贈与をうけると贈与税がかかります。

親の相続で財産を取得すれば相続税です。相続税の基礎控除額は「5000万円+法定相続人数×1000万円」です。もし相続人が3人なら一人当たり2666万円です。つまり相続人が3人なら一人当たり2666万円までなら相続税はかからないことになっています。

新制度「相続時精算課税制度」


さて従来の贈与税の制度はそのままにして、新贈与制度が始まります。「相続で財産を取得しても贈与で財産を取得しても税額は同じ」「相続税の基礎控除を生前に使える」という発想です。親は生前にドンドン財産を贈与しなさい、そうして子どもがお金を使ってくれて景気回復、という景気政策です。

「新贈与制度を適用する親からの贈与については合計2500万円まで非課税」と決めました。

1年目1000万円、2年目1000万円、3年目1000万円、4年目1000万円と親から贈与を受けたとします。この場合の1年目2年目は贈与税非課税です。3年目に2500万円を越えますので3年目は越えた500万円に対し贈与税課税です。この越えた部分に対する税率は20%(新贈与制度適用の場合は税率一律20%)となり、贈与税は500万円×20%=100万円です。4年目は既に2500万円非課税枠を使い切っていますので全額が贈与税対象となり1000万円×20%=200万円です。4年間で4000万円の贈与をして300万円の贈与税を払います。
(その後は非課税枠は残りませんのでその後はその親からの1万円だけの贈与も贈与税対象です。)

5年目でその親が亡くなったとします。親の相続税計算にあたっては相続財産に4000万円を加算します。そして算出相続税額から300万円を差し引きます。もしも差し引いたことで税額がマイナスになればそのマイナスは税務署が還付してくれます。つまり生前贈与でも相続でも税総額は同じになるのです。新制度は2003年の贈与から適用です。

具体的な適用はどうなるか


対象となるのは、贈与者は満65歳以上の「親」で、受贈者は満20歳以上の子である「推定相続人」となっています。「父からの贈与」だけを新贈与制度の対象として「母からの贈与」は対象としなくてもよく、また長男だけ適用して次男は適用しないというのも自由です。

子の住宅取得資金のための贈与ならば65歳未満の親もOKで、その場合には非課税枠は2500万円ではなく3500万円となります。

適用の翌年3月15日までに税務署に届出ることで新制度適用になります。一旦適用すると親の相続までずっと続きます。親が65歳時に届出しその親が100歳で亡くなるのならば35年間続き、当然その間は税務署で資料を保存するのでしょう。

できること・できないこと


「全財産を長男に生前贈与して税金も払ってきれいさっぱりしたい。」はできません。相続税の時に始めて精算できる制度です。また民法上の遺留分減殺請求があります。親相続後に次男が遺留分減殺請求をすれば次男は間違いなく勝ちます。親の希望しない争族の始まりです。

損なのか・得なのか


値上がり値下がりの損得ありの制度です。新贈与制度で親から生前贈与を受けた高額評価な株式。しかし親の相続のときは会社がつぶれて株式は無価値。相続税は昔の贈与時の高額評価で計算されることになります。もちろん値上がりならお得です。

「どっちが有利なの」。毎年110万円の通常の基礎控除を10年20年と受ける方が得なのか、新しい制度の方が得なのか。将来の相続税調査はどうなるのか。資産家の悩みは増えます。

新制度自体は極めてシンプルで、相続対策の幅は広がります。しかしプランニングは極めて難しく高度なものとなります。



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