遺留分放棄と相続時清算課税




新贈与で遺留分放棄。ただし超資産家は税金精算の心配あり。



バードレポート2003年3月3日 第438号

資産家の遺留分放棄と贈与税


「争族」つまり相続争い解消には「遺言+遺留分放棄」です。

遺言により争族が生じないことは多いようです。しかし法的には遺留分減殺請求があります。この請求によりせっかくの遺言が争いの原因となります。遺留分減殺請求をなくすには「遺留分放棄」が必要です。


遺留分放棄と相続放棄とは違います。相続放棄は「私は遺産を欲しくない」というものですが、親の生存中はできません。親の生前に「私は相続放棄します」と書面にし実印をついても法的には無効です。一方で遺留分放棄は親が生存中でも可能で「遺言に従います。遺留分請求をしません。」という意味です。

「私はこういう理由から遺留分を放棄したいと思いますので、遺留分放棄の許可を下さい」と簡易裁判所に申立をします。

裁判所の許可がない限り遺留分放棄は効果がありません。そして遺留分放棄には生前贈与その他それなりの理由が必要です。

家庭裁判所への申立をする際には財産目録の添付します。申立がなされると裁判所は申立人に対して照会状を送ったりして内容を確認します。「本当に自分の意思なの?」「親の財産がどのくらいあるか知っているの?土地・建物・預金その他知っている財産をわかる範囲で書きなさい。」「なんで申立てたの?ちゃんと生前贈与は受けたの?」といった内容です。

一方的不利益な遺留分放棄や、親等が強制する遺留分放棄を認めないようにするためです。例えば「あいつとの結婚を許すから、そのかわりに遺留分放棄をしろ」はダメなのです。

資産家ならそれなりの生前贈与をしてから遺留分放棄をするでしょう。問題は贈与税でした。

遺留分放棄をさせるために多額の贈与をしたい…しかし多額の贈与に対しては多額の贈与税が課税される…だから贈与ができない…だから遺留分放棄もできない…という悪循環でした。

しかし新制度(相続時精算課税贈与制度)で可能になります。2500万円までの贈与なら贈与税がかかりませんし、それを超えた部分は税率20%で済みます。


超資産家の贈与税の精算


将来の争族を心配した超資産家の親は、次男に1億円を生前贈与しました。2500万円までは非課税。それを超えた分の税率は20%です。1500万円((1億円-2500万円)×20%)の贈与税を次男は払い手残り8500万円。これで「遺留分放棄」をしました。

5年後に親が亡くなります。相続人は長男次男の二人。相続財産は10億円です。財産は遺言によりすべて長男が引継ぎ、争いはありません。さて相続税の計算にあたってはこの10億円のほかに相続時精算課税贈与制度として過去の次男への1億円の贈与を加算して11億円が相続税計算上の財産になります。

この時の相続税総額は4億2100万円。次男は全くなにも相続しなくても、相続税だけは課税です。相続時精算課税の贈与税は相続時に精算されるのです。この贈与税は言わば相続税の仮払金のようなものなのです。次男に課せられる相続税は3827万円(=4億2100万円×1億円/11億円)。ただし、過去に払った贈与税1500万円を相続税から差引きますので2327万円の相続税です。何も相続しないのにこの税金を払えるのでしょうか。これをきっかけに兄弟喧嘩にならなければいいのですが。

5年後ならまだ贈与の記憶があるでしょう。しかし親が長生きすればこの税金精算が何10年後にもなります。それまでがデフレかインフレか分りませんが、納税できるのでしょうか。

次男が親より先に亡くなればこの精算義務は孫(次男の相続人)が引き継ぎます。

また次男が相続税を払えなければ税務署は次男に対し差押え公売等を行い、それでもダメなら連帯納付義務者としての長男に対し税務署から請求が来ます。

超資産家の新制度での贈与はずっと後の心配も必要です。





相続争いへの対策・・・・「遺留分の放棄」をご存知ですか。
バードレポート 1997年2月3日 第146号







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