サブリース契約消滅とテナント




サブリース契約が消滅するとテナントの立場はどうなるか



バードレポート2003年5月12日 第447号

転借人の権利は子亀の権利


不動産を所有者(賃貸人)から賃借した人(賃借人)がいます。その賃借人がその不動産をさらに別人(転借人)に転貸しました。

賃貸借契約が消滅すると転借人はどうなるのでしょうか。

ここでは「親亀コケれば、子亀もコケる」が大原則です。


転借人(子亀)の権利は賃借人(親亀)の権利の上でのみ成立しています。だから賃借人の権利がなくなれば、なくなります。

たとえ賃貸人が賃貸借契約の期間を超える転貸借を承諾していても、賃貸借契約が期間満了によって消滅したときは転借人は賃貸人に権利を主張できず、立ち退き明け渡しです。

また賃借人が家賃不払い等で法定解除されたときも同様。つまり立ち退いて明け渡さなくてはいけないのです。(もちろん賃貸人が「このままでいいよ」と言ってくれれば別ですが。)

ただし例外があります。契約期間満了とか法定解除ではなく賃貸借契約を合意解約したときは、特段の事情(本来は家賃未払いで法定解除なのだけれども調停で合意解約の形式をとった等)がない限りは、賃借人はそのまま借り続けられ、明け渡す必要はありません。

その転貸借を賃借人が承諾しているのなら任意の合意解除で明け渡しを求めるのは不当でしょうし、また無断転貸であっても背信性のない(夫に貸していてその後に同居の妻に貸すことになったが賃貸人にとり大きな事情の変化はない等)のならこの場合では明け渡しは不要です。

以上が転貸借での原則です。

サブリースではどうなるか


あるサブリースビルで扱いが異なる最高裁判決がでています。

ある不動産会社が地主さんを説得して賃貸ビルを建築させ、そのビルを一括して借り受けました。賃貸借契約の期間は20年です。その不動産会社が各テナントにビルを貸し付けました。

賃貸ビルの所有者(賃貸人)から不動産会社(賃借人)が一括借り上げ(賃貸借契約)をして、不動産会社が最終利用者である各テナント(転借人)に賃貸(転貸借)したのです。

契約期間の20年が満了します。ビル市場の悪化を背景としてビルを借り受けていた不動産会社はビル所有者に対して賃貸借契約の更新をしないと通知し、そのまま賃貸借契約は消滅します。

不動産会社から借り受けていたテナント(転借人)の多くはビル所有者と直接賃貸借契約を締結しましたが、あるテナントについて特別の事情から明け渡しを求めました。


そして裁判になります。これは合意解約ではなく契約満了ですから、転貸借の原則に従えばテナントは立ち退いて明け渡さなくてはいけません。

地裁判決は明け渡し不要。理由は賃借人による更新拒絶は合意解約のようなものだし、またテナントはそこを借りる必要性が大なので特段の事情がありという理由です。しかし高裁では特段の事情を認めずに原則に従って明け渡しを命じます。最終判断は最高裁となりました。

このような賃貸ビルでの賃貸借は当初から転貸借を予定したものであり、またビル所有者は転貸借を承諾し推し進めたものでもあり、賃貸借契約が期間満了によって消滅したとしても、テナントに明け渡しを求めることはできない。つまりテナントはそのまま営業継続をしていい、という判決になりました。

(最高裁平成14年3月28日)

この判決は個別事例に対する判断ですから、すべてのサブリースが同じ結論となるかは分りません。しかしこの考え方からすればサブリースによる賃貸ビルやアパートの賃貸については、そのサブリース業者が何らかの理由で契約上抜け落ちた場合に、入居者に退去を求めるのは難しいという方向になりそうです。

サブリースだから賃貸事業が安心という側面もありますが、そのサブリース業者がどのような貸し方をしているかにも注意を払わないといけないようです。



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