事業用資産の買換特例の行方




事業用資産の買換特例を使っての財産組替えは年内に売却を



バードレポート2003年5月26日 第449号

事業用買換特例は存続

以下の記事で2001年末の廃止の可能性をお伝えしましたが、2002年度税制改正では廃止とはならずに、3年延長として決着しました。




事業用資産の買換特例とは、


事業用資産を売却しても事業用買換資産を購入すれば、譲渡税が安くなる、という制度です。

「事業用の土地を1億円で売却した。買換制度がなければその1億円に対し譲渡税が課される。しかし『一定の条件』を満たす買換資産として1億円の土地建物を買えば、本来の課税対象1億円の(例えば)2割相当の2000万円に対する譲渡税だけで済む。」…となります。

様々な「一定の条件」があり、税法では20種類以上の「一定の条件」を定めています。その多くは「騒音規制区域の内から外への騒音発生施設の移転に伴う買換え」というように具体的で狭い範囲のものであり、工場移転促進的な誘導政策が中心です。

長期所有土地等の買換特例


普通の地主さんが土地を売却した場合に使うのは「21号買換」(租税特別措置法37条)と呼ばれる「長期所有土地等から土地等又は減価償却資産への買換え」です。これは1998年に設けられた「一定の条件」です。

そしてこの「21号買換」の極めて特異なことは工場移転促進といった政策ではなく、地価対策景気対策が主だったということ。地価下落の中で、不動産の買い手を増やそうとしたのです。

「21号買換」の条件は


譲渡資産の制約…譲渡年の1月1日で10年超所有の国内にある事業用の土地・借地権・建物・構築物であること。

買換資産の制約…国内にある事業用の土地・借地権・建物・構築物・機械・装置であること。

つまり10年超所有の事業用である土地建物の売却であれば実質的には買換資産として何を買ってもOKという、何とも寛大で自由な制度です。

「21号買換」により、全国どこに所在する貸宅地古アパート農地であっても、売却すれば、都心部や都市部の高利回り収益物件を買換物件として購入することが可能となりました。


延長可能性と期限切れの場合


「21号買換」は当初1998年から3年間の期間限定の特例でした。旧大蔵省は3年間経過の2000年末で終了するつもりでした。

しかし2001年度税制改正の最後のドタンバで景気対策を意識する政治の腕力により、なんとか3年間延長となったのです。

そしてその延長後の期限切れが今年2003年12月31日なのです。この「21号買換」が再延長されるか否かは全く不明な状況です。

「21号買換」が再延長なしに消滅すれば、広く使える事業用買換特例は「1号買換」と呼ばれる「既成市街地等の内から外への買換」ぐらいです。バブル期の不動産を扱った方には懐かしい響きの買換特例のはずです。


既成市街地等とは3大都市圏の中心部です。首都圏ならば東京区部武蔵野市全域及び三鷹市横浜市川崎市川口市の一部です。

東京区部は既成市街地等の内側であり、千葉県は外側です。東京区部を売却し千葉県への「1号買換」は可ですが、逆は不可。東京区部を売却して東京区部内での「1号買換」は不可です。現行「21号買換」ならどれも可なのですが。「21号買換」に比べ「1号買換」では適用範対象可能な地域が極めて限られます。

さらに「1号買換」では対象物件を「事務所・事業所」等建物とその敷地の売却に限定されておりアパート売却なら不可です。もし「21号買換」が消滅するなら「1号買換」の対象物件を拡大する可能性もあるでしょうが、現時点ではわかりません。

現行の「21号買換」を確実に使いたいなら期限は2003年末までです。それまでの売却が必須です。忘れていけない期限です。

2003年12月31日に売却の売買契約をすれば引渡が2004年となっても、税務では2003年売却として申告できます。つまり最終期限は12月31日の契約締結です。

税制改正で「21号買換」が再延長されるか否かは2003年暮の2004年度税制改正大綱の公表時にならないと分らないでしょう。


「21号買換」は個人での呼び名。法人なら「22号買換」と呼びます。



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