「てき除」は「担保消滅請求」に




「てき除」は「担保消滅請求」に変り、増価競売はなくなる。



2003年8月18日 第460号

当レポートで滌除(てき除)を取り上げたのは96年1月。当時は使われていない制度でしたが、随分使われるようになりました。

滌除(てき除)の使われ方


住宅ローン残高5000万円で時価2000万円のマンションがあります。この抵当権をきれいにするために滌除します。

まず所有者の親戚に抵当権付のまま1万円(例えば)にて売却して登記します。その親戚が抵当権者(銀行)に対してマンションの時価相当額を考慮して2000万円支払うと通知します。

通知を受けた抵当権者はその2000万円で納得するか、競売申し立てるしかありません。

納得すれば2000万円を受け取って抵当権抹消となります。

納得せずに競売申し立ても可能ですが、そのマンションが2000万円の1割増の2200万円以上で競落されなければ申し立てた抵当権者が2200万円で買わなくてはいけません (「増価競売」といいます)。・・・・こんな仕組みです。確かに荒っぽく物騒な手法には違いありません。


(なお滌除後に無担保で残る3000万円(あるいは2800万円)のローン残債は別途解決の要がありますが、既に無担保になっていますので債権者は弱気です。)

滌除の果たす役割


債権者である抵当権者にとって、後順位抵当権者が高額のハンコ代を要求する等で売却できないときの解決策としては、担保権実行による「競売」があります。競売により後順位抵当権はきれいになり整理完了です。

一方で債務者側から買主を見つけて全ての抵当権をキレイに整理しようとするのが滌除です。

この制度は債権者から見れば腹の立つ制度です。知らない買い手が突然現れ勝手に金額を決めて通知してきます。争うのならば増価競売となりますので相応の金額の資金繰りをしないといけません。

債務者側はそんな事情を逆手にとって「できるもんならやってみろ、増価競売やってみろ、」とばかり不当に低い金額での滌除をしようとします。

新制度は「担保消滅請求」


今回の民法改正で、この滌除は大きく改正されます。

滌除制度そのものの廃止も検討されましたが、債権者側に過度な負担とならないように制度改正をして制度としては存続することとなりました。

滌除には、滞留しがちな債務超過型の抵当不動産について流通促進を図るという側面と、債務者からする制度濫用により債権者が過大な負担を強いられるという側面があります。この二つの側面をなんとか調整しようとする改正になったのです。

まず名称が変わります。「滌除(てき除)」から「抵当権消滅請求」となりました。やっとこれでこの「難しい漢字」に悩まされずに済みます。

そして債務者が競売で応じた場合において、増価競売で競落しなくてはいけないという買受義務をなくしました。


滌除での銀行交渉は変る


これにより債権者は、申し出金額よりも競売のほうが高い金額で落札されると思えば、気楽に競売を申し立てることができるようになります。

最近は競売市場も人気となっており、債務者居住のマンション等の明け渡しの心配が少ない物件やワンルームマンション等の利回り物件は高額で落札されることが多いようです。債権者は迷わず競売申し出に進むことができるようになります。

「滌除してもいいんだぞ、増価競売できるのか、」を切り札とする、債務者主導の任意売却交渉は難しくなるでしょう。

また抵当権者は抵当権実行に先立って抵当権付不動産を取得した者(前例なら「1万円で購入した親戚」)に対して、抵当権実行をあらかじめ通知する義務がありました。

わざわざ手の内を明かすものでもあり、また突然に通知対象者が出現すれば抵当権実行は遅れます。これら弊害排除のために通知義務はなくなります。



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