短期賃貸借の保護が無くなる




短期賃貸借の保護が無くなり、競売により賃借人は立退きへ。



2003年8月25日 第461号

競売になったときの賃借人


賃借人付でのアパートやビルの「売買」では賃貸借契約は売主から買主に引き継がれます。賃借人は借り続けられるし、将来の退去時に敷金返還を新所有者である買主に請求できます。

問題は「売買」ではなく「競売」の場合です。貸主の破綻により物件が競売になります。ここでの罪なき賃借人保護が「短期賃貸借保護」です。

「短期賃貸借保護」の廃止


現行の大原則は借りる前に抵当権が設定されていたなら競売により賃借人は追い出されます。

その例外が「短期賃貸借」です。例外とは言いながらほとんどの場合は「短期賃貸借」です。

競落時に「短期賃貸借」が継続中ならば、その賃借権は競落人が引き継がれます。短期賃貸借とはアパートビルなど建物の賃貸借契約ならば契約期間3年以内のものです。

つまり3年以内の賃貸借契約なら競売になっても上記「売買」同様に、賃借人は賃貸借を継続でき、将来の退去時には敷金返還を競落人に請求できます。

(差押後に法定更新を迎えてその後に競落になったものはこの保護の対象となりません。)

今改正でこの「短期賃貸借保護」制度が廃止となり(改正民法395条)、大原則に戻ります。

制度悪用するいわゆる「占有屋」排除のための改正です。

競売を予期して債務者に入り込み、短期賃貸借契約を締結して占有します。競落人はこの占有屋と交渉することになり、高額の立退料を要求されます。また占有することで他の競落希望者に諦めさせ関係者が安い金額で取得しようとします。そうして不良債権処理は滞ります。

不良債権処理が進まないのはなぜ…占有屋がいるから。占有屋がいるのはなぜ…短期賃貸借保護があるから。それなら短期賃貸借を廃止しよう、です。

賃借人はどうされるのか


今後は、賃借中の建物が競売になってしまえば、6ケ月の猶予期間は設けられたものの、賃借人は追い出されても、敷金が戻らなくても文句がいえません。

99.9%は善良な賃借人で占有屋はほんのわずかです。大多数の善良な賃借人の権利よりも、不良債権処理を進めたい銀行の利益を優先した民法改正です。

現実には、アパート等を競落する競落人の多くは家賃収入を目的としているのですから、問題なく賃貸借を引き継ぐのが普通ですし、競落価格にも将来負担する敷金を織り込んでいるはずです。だから実務での問題発生は少ないはずです。しかし一部で大きな影響がでるでしょう。

競落人は「質のいい」賃借人の賃貸借契約については「退去時の敷金返還を約束しますからこのまま借り続けて下さい」と言い、一方で、低家賃や未払頻発の「質の悪い」賃借人には「6ケ月内に退去して下さい。その間は家賃を払って下さい。退去時の敷金は返しません。」と言うことになるのでしょう。ビジネスなら当然のことです

同意付のサブリースビジネス


なお抵当権者が同意すれば、例外として賃借人の権利保護が可能です(改正民法387条)。なお賃借権登記その旨の登記が必要で登録免許税がかかります。

万が一競売になっても同意により賃借人の権利を守れます。

これはサブリース契約に応用できるでしょう。アパートやビルの新築時に抵当権者となる銀行と話をつけ、サブリース会社に銀行が同意を与えます。

借金だらけの大家さんに敷金を差入れするのは心配です。しかし、しっかりしたサブリース会社であって、その会社がこの例外規定の同意を受けていれば、そのサブリース会社に敷金を預けて賃借するのが安心です。

結果として様々な影響


仲介業者が適切にこのリスク説明をせずに、顧客の敷金が戻らなければ仲介業者の責任問題となる可能性があります。

最低競売価格について、立退料敷金の勘案が不要となり、最低競売価格は上昇しそうです。



バードレポート・トピックス版2003.8.28.
短期賃借権保護廃止と重要事項説明 (訂正)


前号のバードレポートで短期賃借権保護廃止についてお伝えしました。オーナー破綻により賃借人の敷金が戻らなくなることが増えます。

この点について宅建業法上の重要事項説明の対象とするかについて、「国土交通省はいまのところ今改正を重要事項説明の項目に加える考えは示していない」ということです。

しかし法務省民事局長は衆議院法務委員会で「仲介業者が適切に知らせなかったため…損害を被ったということであれば、賃借人は仲介業者に損害賠償の請求をすることができる。」と答弁しています。(住宅新報2003.8.26号)

現在時点での扱いははっきりしていないようです。「重説義務があり」と断定した前号のバードレポートでの断定を取り消します。お詫び申し上げます。



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