債権放棄や債務株式化が相続税対策




回収不能の貸付金…債権放棄や債務の株式化が相続税対策



2003年11月3日 第470号

経営者が自分の会社に多額の貸付金を有していると相続税で大きな問題になります。

社長が自社への1億円の貸付金を残したまま亡くなれば、その自社が債務超過であったとしてもこの1億円の貸付金は相続財産です。そして会社が回っていればこの貸付金へも相続税の課税がなされるのが原則です。

預金が1億円ならば確かな財産価値がありますから相続税を課税されても仕方がありません。

自社への貸付金は回収が難しいことはよくあること。そんな名目だけともいえる財産に対して相続税は課税が原則なのです。

免除と債務の株式化


相続税対策は、実質的に回収不能のこの貸付金については生前に債権放棄、つまり免除です。免除さえすれば貸付金は存在しなくなります。免除が一番です。


しかし悩ましいのは会社への法人税課税です。その会社は債権放棄(免除)を受けたことで1億円の債務免除益が課税対象になります。繰越欠損金が十分にあればともかく、そうでなければ慎重に対処せざるを得ません。

会社に対する債務免除益の課税が回避できないのならば、「デッドエクイティスワップ(債務の株式化)」を検討しましょう。

これは会社への貸付金をその会社の資本として現物出資してしまうことです。面倒は裁判所が選任する検査役による調査ですが、商法改正により省略が可能にもなります。

会社への貸付金が会社の資本金に変わることで相続財産は貸付金から株式に変ります。普通ならば相続税評価は激減し、もし債務超過会社ならゼロです。

なお資本を受け入れる会社サイドで1億円の貸付金がどう処理されるかについては2説あります。そのまま1億円の資本となるという説と貸付金1億円のうち実質的債務免除となる金額(例えば7000万円)と資本となる金額(例えば3000万円)とを分離するという説とがあります。後説だと債務免除益の課税となるのですが、実務の取り扱いは前説となってきているようですので課税はないでしょう。

なお資本金が増大することで、住民税均等割・交際費・軽減税率・改正となる外形標準課税その他不利になることもあります。それでも相続税課税を大幅に減少できるメリットは大きいはず。もっともその後に減資してしまえば問題は解決ですが。

保証債務の相続税対策


貸付金ならこのように思い切った処理ができますが、苦労するのは個人としての物上保証(個人所有不動産の担保提供)や連帯保証の場合です。

もし会社が破綻すれば不動産売却等で会社の借金の弁済を行わないといけません。

亡くなった日時点ですでに会社が破綻していて保証人としての弁済が確実ならば、その保証債務について相続税の債務控除の対象となります。

しかし確実でなければ、つまりほとんどのケースは債務控除の対象外でしょう。後に現実に弁済になったとしても同じです。

これら保証債務についての相続税対策は思い切った整理です。

担保不動産があるのなら思い切って売却し弁済します。保証債務履行のための土地売却なら要件はあるものの譲渡税はかかりません。会社は整理して、必要なら新会社を設立して商売を続けましょう。


許認可等で会社を整理するのが困難なら次のようにします。

自社の銀行借入金について保証人として銀行等に弁済します。すると銀行の自社への貸付金債権が、保証人が自社に対して有する貸付金債権に変ります。求償債権といいます。

この求償債権について、前述のように免除やデッドエクイティスワップにすればいいのです。

なお同族会社で株主が複数いる場合に債務免除等を行うと、他の株主への贈与税が課税されることがありますので注意が必要です。債務免除により他の株主の株式の価値がアップしてしまうという理屈からです。



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