事業用資産の買換特例の延長?




あと1カ月限りで消滅する税務特例をギリギリで使うには



2003年12月1日 第474号


この特例は3年間延長されました。(2005.12.)




年内ギリギリあと一ヶ月


12月31日限りでなくなる特例があります。ただしそれは12月中旬の自民党税制改正大綱により確定しますので、現時点ではまだ未確定です。だからこそ実務では年末に向け注意したり覚悟したりしなくてはいけません。

事業用資産の買換特例


個人なら「21号買換」、法人ならば「22号買換」と呼ばれる買換特例です。

本来の事業用資産の買換特例は制約ばかりです。例えば売却資産の所在地は「既成市街地等の内」で買換資産は「その外」等の厳密な制約があって、自由に買換特例は使えませんでした。

しかし1998年に「地価対策…土地需要の増大」としてユルユルの買換特例ができました。10年超所有の事業用資産なら買換資産はほぼなんでもOKという特例、それがこの特例です。

この特例によって、全国どこの農地貸地その他の事業用不動産であっても、売却時においては、都市部の賃貸ビル等の高収益不動産を税務上の買換資産にすることができました。

実はこの買換特例の役割は済んだとして2000年末消滅予定でしたが、なんとか2003年末まで政治の力で延命しました。これ以降の延長は期待薄です。特例適用により財産の組み換えをしたいのならば年内売却が必須条件です。

ここで「年内売却」とは、引渡しは来年になっても結構ですが、年内に売買契約の締結をした上で2003年の譲渡だとして申告をすることです。そうすれば適用できます。もし売却が間に合わなければ、身内あるいは関連会社にとりあえず売却するといったウルトラCもあるでしょう(自己責任でどうぞ)。

住宅ローン減税


マスコミ報道では現時点ではどう改正されるのか不明です。しかし、現行制度よりも減税額は減りそうです。現行の住宅ローン減税は居住年以降10年間に渡り毎年ローン残高の1%(最大50万円)、10年間合計で最大500万円が税額控除となるものです。

現行制度を確実に使おうとすれば、年内に購入するだけではダメで、年内に居住することが必須です。購入した上で住まなくてはいけません。

ですから実務上では「これから探して買う」という人には無理でしょうが、すでに売買や請負契約が終わっていて決済や引渡しが年末ないしは年明けとなっている場合には特例適用への配慮ができるでしょう。

引渡しを年内に前倒し何とか急いで住んでしまう等です。


なお税制改正大綱の公表が12月中旬にありますので、そこで公表される2004年の住宅ローン税制をにらみながら進めることになるでしょう。

居住用の譲渡損失の繰越控除


値下がりマイホームを売却して新マイホームを住宅ローンで購入すれば、売却損について繰越控除を認めるという特例です。

これも2003年末までの特例です。ただし、こちらについては、延長されるのではないでしょうか。延長しない理由がなさそうですので。税制改正大綱の発表ではっきりします。

2000年に引越した住宅の売却


これは税制改正ではありませんが、年末までという期限のある税制です。

2000年まで居住していた旧マイホームは2003年12月末までに売却すれば居住用財産として3000万円特別控除等が適用できます。居住の用に供さなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すれば、税務において居住用財産となるのです

だから2000年に転勤等で引っ越した旧マイホーム等、その後に他人に貸していたり空き家にしていたりした住宅は、今年の12月末までに売買契約して2003年の譲渡として確定申告すれば居住用財産として特例が使えます。たとえ現在賃貸中でも3000万円特別控除を適用できます。

なお建物を取り壊した場合は特例適用がダメになることも多いですのでご注意ください。

事業用資産の買換特例とは、


事業用資産を売却しても事業用買換資産を購入すれば、譲渡税が安くなる、という制度です。

「事業用の土地を1億円で売却した。買換制度がなければその1億円に対し譲渡税が課される。しかし『一定の条件』を満たす買換資産として1億円の土地建物を買えば、本来の課税対象1億円の(例えば)2割相当の2000万円に対する譲渡税だけで済む。」…となります。

様々な「一定の条件」があり、税法では20種類以上の「一定の条件」を定めています。その多くは「騒音規制区域の内から外への騒音発生施設の移転に伴う買換え」というように具体的で狭い範囲のものであり、工場移転促進的な誘導政策が中心です。

長期所有土地等の買換特例


普通の地主さんが土地を売却した場合に使うのは「21号買換」(租税特別措置法37条)と呼ばれる「長期所有土地等から土地等又は減価償却資産への買換え」です。これは1998年に設けられた「一定の条件」です。

そしてこの「21号買換」の極めて特異なことは工場移転促進といった政策ではなく、地価対策景気対策が主だったということ。地価下落の中で、不動産の買い手を増やそうとしたのです。

「21号買換」の条件は


譲渡資産の制約…譲渡年の1月1日で10年超所有の国内にある事業用の土地・借地権・建物・構築物であること。

買換資産の制約…国内にある事業用の土地・借地権・建物・構築物・機械・装置であること。

つまり10年超所有の事業用である土地建物の売却であれば実質的には買換資産として何を買ってもOKという、何とも寛大で自由な制度です。

「21号買換」により、全国どこに所在する貸宅地古アパート農地であっても、売却すれば、都心部や都市部の高利回り収益物件を買換物件として購入することが可能となりました。


延長可能性と期限切れの場合


「21号買換」は当初1998年から3年間の期間限定の特例でした。旧大蔵省は3年間経過の2000年末で終了するつもりでした。

しかし2001年度税制改正の最後のドタンバで景気対策を意識する政治の腕力により、なんとか3年間延長となったのです。

そしてその延長後の期限切れが今年2003年12月31日なのです。この「21号買換」が再延長されるか否かは全く不明な状況です。

「21号買換」が再延長なしに消滅すれば、広く使える事業用買換特例は「1号買換」と呼ばれる「既成市街地等の内から外への買換」ぐらいです。バブル期の不動産を扱った方には懐かしい響きの買換特例のはずです。


既成市街地等とは3大都市圏の中心部です。首都圏ならば東京区部武蔵野市全域及び三鷹市横浜市川崎市川口市の一部です。

東京区部は既成市街地等の内側であり、千葉県は外側です。東京区部を売却し千葉県への「1号買換」は可ですが、逆は不可。東京区部を売却して東京区部内での「1号買換」は不可です。現行「21号買換」ならどれも可なのですが。「21号買換」に比べ「1号買換」では適用範対象可能な地域が極めて限られます。

さらに「1号買換」では対象物件を「事務所・事業所」等建物とその敷地の売却に限定されておりアパート売却なら不可です。もし「21号買換」が消滅するなら「1号買換」の対象物件を拡大する可能性もあるでしょうが、現時点ではわかりません。

現行の「21号買換」を確実に使いたいなら期限は2003年末までです。それまでの売却が必須です。忘れていけない期限です。

2003年12月31日に売却の売買契約をすれば引渡が2004年となっても、税務では2003年売却として申告できます。つまり最終期限は12月31日の契約締結です。

税制改正で「21号買換」が再延長されるか否かは2003年暮の2004年度税制改正大綱の公表時にならないと分らないでしょう。


「21号買換」は個人での呼び名。法人なら「22号買換」と呼びます。

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