中小不動産会社の証券化ビジネス




中小不動産会社の不動産証券化ビジネスの仕組みと資金繰り



2004年2月2日 第483号

新聞には住友不動産の不動産ファンドの「完売御礼」広告です。利回り2.45%。一般の人は銀行預金と比べますから高利回りだと思えるのでしょう。

REIT(不動産投資信託)の新規公開が続き規模は拡大しています。非公開の不動産ファンドも随分と増えているようです。中小不動産会社がファンドを組成し、親しい地主さんにその出資を販売するものが目立ちます。

地場での不動産ファンド


ある地元密着型不動産会社が1億2250万円の優先出資証券を1週間で完売しました。パンフレットから仕組みを推測します。

対象は総額6億5000万円の賃貸物件。信託の後に匿名組合方式で証券化します。まず4億9500万円を外資系金融機関のノンリコースローンで調達します。そして投資家に販売する優先出資は1億2250万円で配当年4.2%です。これで不足する残り3250万円がこの胴元となる不動産会社が出資する劣後出資です。合計6億5000万円になります。

家賃収入が減少したら、不動産会社の有する劣後出資への配当を減らすことで、投資家の有する優先出資に優先配当を行う仕組みです。さて収支資金繰りを推測してみましょう。

物件は6億5000万円。経費支払後の手取り利回りは不動産のプロが仕入れたものなら10%でもおかしくありません。ここでは安全に7%とみましょう。年間手取りは4550万円(6億5000万円×7%)です。ノンリコースローンは競争も激しく金利は随分下がり、3%といったところでしょうか。金利は1485万円(4億9500万円×3%)です。出資者への優先出資配当は4.2%で、515万円(1億2250万円×4.2%)。金利と優先出資配当を差引いて2550万円が残ります。

これが不動産会社の有する劣後出資3250万円に対する配当となり配当率は年78%です。


仮に空室等で物件利回りが5%まで下がっても計算上の劣後出資への配当率は38%。利回り3%まで下がればゼロです。

予定通りなら高利回りでしょう。配当率78%なら3250万円の出資は1年4ケ月分の配当で全額回収します。これが地場での不動産証券化ビジネスです。

期間満了時はどうなるのか


過去の信頼関係があることで4%程でも出資いただける地主さんその他投資家がいれば、あとはノンリコースローンの組み込みです。劣後出資は手放してはいけません。劣後出資に対する利回りは最低でも50%でしょう。物件次第ですが100%にすることも可能でしょう。

100%で期間5年なら投入額の5倍を回収できます。問題は例えば5年後の期間満了時の売却等です。値下がりで劣後出資の回収不能かもしれませんが、配当で回収済みのはずです。

値上がりしていれば驚くべき結果になります。このケースでの売却時の約定は不明ですが、仮に優先出資に対して優先的に1.2倍まで配当するとしましょう。物件価格は1.1倍に値上がりして7億1500万円(6億5000万円×1.1)になったとしましょう。ローン返済し、優先出資に対し1.2倍を償還しても7300万円が残りますので劣後出資3250万円は2.24倍になって償還されます。

投資家利回り10%であっても


これが地元地主密着型の不動産会社の証券化ビジネスです。

地主さんからは「4%もの高金利」と喜んでいただけ、一方で自らの利益も確保できます。

なお4%での投資家が集められないのなら、広く一般から高利回りで募集します。このケースなら優先出資への配当を10%に引き上げても、劣後出資への配当は56%を確保できます。配当率10%なら魅力でしょうからそこそこ販売できるでしょう。

相続税対策にどうつかう?


匿名組合の劣後出資は相続税対策にも応用できます。親所有の収益物件について、子による劣後出資引受けを前提で匿名組合ファンドをつくります。

超高配当の劣後出資とすることで子は収益を蓄積します。

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