賃貸建物贈与は負担付贈与に該当せず




相続時精算課税での賃貸建物の贈与…負担付贈与に該当せず



2004年2月23日 第486号

昔話…バブルの頃の大胆節税


借金で賃貸ビルを建築します。建物の建築費(取得費)10億円。固定資産税評価額方式による建物の贈与税の評価6億円。先祖代々のその敷地評価額は4億円。建築に際しての借金残額10億円。

「建物土地を子に贈与する。ただし子は借金を負担すること」という負担付きの贈与をします。

すると贈与対象額は建物土地評価額10億(6億+4億)円−負担借金10億円=0…課税対象ゼロなので子の贈与税額はゼロ。

所得税ではこの負担付贈与を10億円の債務引受を売買の対価とした売買と考えます。取得費(原価)は建物10億円で土地は先祖代々でほぼゼロです。

譲渡所得は売買対価(債務引受)10億円−原価10億円=0…親の譲渡所得税負担もゼロ。

課税側はたまりません。親から子へ税負担なしで合法的に高額の不動産が移転します。

そこで1989年にこの「負担付贈与」を通達で締め出します。

負担付贈与の場合の贈与税評価は固資税評価や路線価を使わせず「時価」によるとしました。


建物時価が建築費の10億円で、敷地時価が8億円(当時の時価は路線価の倍ほど)とすれば、前記の負担付贈与での贈与税対象額は、土地建物評価額18億円−負担借金10億円=8億円。8億円への贈与税課税ができます。

この負担付贈与の通達は今も生きています。この古い通達が今般問題となりました。

相続時精算課税での建物贈与


「相続時精算課税制度」が注目を浴びています。

「相続時精算課税制度」そのものは相続税の節税には本来は結びつきません。しかしうまく使えば相続税に効きます。

注目は「賃貸建物」の贈与。建物評価額は固定資産税評価額ですので、実際の建築費より低いのが普通で、更に貸家ならばその固資税評価額の70%です。

その敷地は親所有のままで、建物のみを子に贈与します。

他に贈与財産がなければ固資税評価額の70%相当額が2500万円までは贈与税はかかりません。

(なおこの贈与分は将来の親の相続時での相続税の課税対象となり相続税で精算されます。)

ここでの最大のメリットは、その後の家賃収入を「子」が受け取ることになることです。

親の相続財産を増やすことなく、相続税納税資金として蓄えることができます。また所得の分散効果により世帯単位での所得税まで減るでしょう。

しかし昨秋ごろから専門家の間で、不安の声が持ち上がりました。この贈与が「負担付贈与」に該当しないかという不安です。

問題は敷金の引継ぎです。賃貸建物の贈与を受けると敷金の返還義務も負担として引き継ぎます。「賃貸建物を子に贈与する。ただし子は敷金を負担すること。」ならば負担付贈与と同じではないかというのです。


国税庁の明確回答がでました


「旧所有者(父親)が賃借人に対して敷金返還義務を負っている状態で、新所有者(長男)に対し賃貸アパートを贈与した場合には、法形式上は、負担付贈与に該当するが、当該敷金返還債務に相当する現金の贈与を同時に行っている場合には、一般的に当該敷金返還債務を承継させ(す)る意図が贈与者受贈者間においてなく、実質的な負担はないと認定することができる。

したがって、本件問いについては、実質的に負担付贈与に当たらないと解するのが相当であることから、負担付贈与通達の適用はない。…(注) なお、本件問いについては、実質的に負担付贈与に該当しないことから、譲渡の対価がないため譲渡所得課税は生じない。」

結論は「敷金に相当する現金の贈与を同時に行っている場合には」問題ない、ということです。逆に行わないのなら大いに問題ありということです。

賃貸建物の贈与は増えます。それに際して、敷金相当額については別途金銭で親から子へ贈与することを忘れないようにしなくてはいけません。




新贈与税制での賃貸建物贈与…建物の贈与は収益力の贈与 2003年2月3日 第434号



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