規制緩和でマンション紛争




建築基準法での規制緩和が巻き起こすマンション紛争



2004年3月15日 第489号

地下室で急傾斜地マンション


建築基準法が改正されて地下室優遇になったのは1994年です。地上階の床面積の2分の1を上限に地下室を容積率算出の対象からはずしました。地下室を含床面積は最大1.5倍となります。

当初は戸建住宅の地下室を想定していたようです。戸建住宅なら建築外観についても問題が生じません。オーディオルーム等の活用をイメージしました。

ところが、業界の要望もあり、法案の国会提出時には共同住宅も対象となっていました。

マンションにこの制度を適用すれば、容積率の1.5倍まで建築可能になるのです。ただし通常は建物の高さ制限があり、それほどは床面積を増やすことはできません。

狙われたのは斜面地でした。崖ほどの急斜面なら「どこからを地上階とするか」をうまくやれば、高さ制限をクリアした上で、容積率1.5倍までそっくり使えます。高さ制限10mであっても地下階部分はその高さの対象にはならないのです。

横浜市のように斜面が多く高地価の都市部では、急斜地にマンションが建築され始め、マンション紛争も激増です。突然住宅地に実質的な高層マンションが建築されるのですから。


もちろんそのマンションは建築基準法をクリアしているので市は建築をストップできません。

横浜市は条例で対応です。高さ制限10mの地区では地上と地下あわせ階数5階までに制限します。また地下室を増やすことを目的とする盛土を禁止します。

道路斜線緩和で高層建物の壁


狭い道路沿いの高層建物の上部は斜めにカットされます。これは道路が井戸の底のようになるのを防ぐための道路斜線制限によるものです。建物敷地の接する道路の向こう側から一定の勾配で引いた斜線の高さまでしか建築物を建築できません。

さてこの制限も規制緩和により、徐々に制限がゆるみました。

建物を道路から後退(セットバック)すれば道路の向こう側からの距離が離れますので斜線制限はかかりにくくなります。これは当然です。ただし自分が道路から後退したことで、道路の向こう側も道路が後退した、すなわち道路が広がったとみなすようになりました。道路の向こう側は現実にはびっしり住宅が立ち並んでいても、現実を無視しそこを道路と考えるのです。

幅員6mの道路から12mセットバックすると、道路幅は向こう側にも12m広がったとみなします。30m(=実際の道路幅員6m+後退12m+向こう側が広がったとみなす距離12m)の道路に接しているものとして、道路斜線を計算します。

多くの場合、道路幅員が30m以上あれば道路斜線制限は適用されなくなっています。

つまり6m幅員の道路でも12m後退すれば幅員30mの道路に接していることになります。高層マンションが可能なら12mセットバックで超高層建築ですらありえるのです。

現実の道路幅は30mではありません。その建物から18m先が現実の道路境界であり、そこに低層の住宅が並んでいることもあります。その住宅から見ればわずか18m先に高さ青天井の高層建築物の壁が立ち並ぶ可能性があります。

総合設計で容積率割り増し


広い敷地にマンションを建築しようとすると公開空地などを条件とし容積率ボーナスの総合設計が一般的になってきました。

容積率1000%のマンションも可能で容積率を使い切ろうとすると、どうしても18m先に壁を作らざるを得ないようです。


もちろん現行の建築基準法をクリアしているのですから、法的には問題ありません。しかしこれら規制緩和での建築基準法改正がマンション紛争の種になっていることは事実のようです。

国立のマンション判決は有名になりました。そしてマンション紛争を事前に封じるための「まちづくり条例」を整備する自治体が増えています。



cats_back.gif





バードレポートとは


 
clip_blue_1.gif




前号

次号


関連する項目
不動産賃貸経営
定期借地権定期借家
不動産証券化
不動産ビジネス手法

このレポートと同じ年分リスト
2004年リスト




あんしん生命資料請求
  • 使わなかったら払った保険料が全額戻ってくる医療保険

保険ショップインフォ
  • 地域から探す
  • 保険ショップの使い倒し方

保険ショップ


バードレポート

Google
Web検索
当サイト検索

バードレポート項目別
不動産ビジネス手法
不動産賃貸経営
不動産と金融会計
定期借地権定期借家
不動産証券化
債務整理と企業再生
不良債権処理
債務処理の税務
相続税対策申告
路線価評価相続評価
物納と相続税調査
譲渡税買換特例
住宅税制住宅減税
固定資産税
税制改正
その他不動産税制
その他税制
相続対策と遺産分割
生命保険
その他不動産関連
その他
トピックス版・年別リスト
カネボウ劇場
発行元情報

バードレポート発行順
発行年順リスト
clip_blue_1.gif
clip_blue_3.gif