敷金精算東京都ルールと消費者契約法




敷金精算で原状復旧特約。東京では要説明。消費者には無効?



2004年4月19日 第493号

アパート退去の際の敷金精算はもめごとが多いようです。

退去時の現状復旧や修繕につき、どこまでが貸主の負担でどこまでが借主の負担か…。ガイドライン等も定められていますが、トラブルの多いところです。

原則は、通常の損耗は貸主の負担・特別な損耗は借主の負担、です。つまり経年変化や通常使用でのキズ汚れの修繕は賃貸人の負担であり、通常使用以外のキズ汚れの修繕は賃借人の負担です。

普通に使っていて、特別のキズ汚れを残さなければ、退去時において敷金から現状復旧費用を控除されることはないのです。 

しかし一定の限度において復旧修繕を特約で借主負担とすることはよくあることです。

原状回復「東京ルール」


東京都議会で「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」が成立し、10月1日から施行されます。

「住宅の賃貸借に係る紛争の防止を図り、都民の住生活の安定向上に寄与するため、宅建業者が住宅の賃貸借に伴いあらかじめ明らかにすべき事項について条例で規定を設ける。」

明らかにするべき事項とは「退去時における住宅の損耗等の復旧並びに住宅の使用及び収益に必要な修繕に関し規則で定める事項」等となっています。

これは具体的には、宅建業者は契約時点で、住宅を借りる者に対して次の説明等を義務付けられます。もし義務違反ならば公表等となります。

○退去時の通常損耗等の復旧は貸主が行うことが基本とされていること(例:テレビの後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)、家具を置いたあとの畳のへこみ等)

○入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本とされていること

つまり賃借人負担の特約を定めるにしても「退去時の畳のへこみ等の通常損耗等の復旧や修繕は大家さんが負担するのが原則。ただし今回の契約では特約として賃借人の負担になっています。」との説明をするのです。

これまでは原則の説明もなく「賃借人の負担です」と一方的な説明がほとんどでしょう。

特約無効との京都地裁判決


そして2004年3月16日の京都地裁判決は強烈でした。敷金の返還について賃貸人と賃借人が争ったものです。

「…自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることは,契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害するものといえる…(だから)原状回復特約は消費者契約法10条により無効であると解するのが相当である。」

(消費者契約法10条)…「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」

判決では、自然損耗及び通常使用による損耗について、賃借人に原状回復義務を負担させる特約は消費者契約法において無効としました。

判決の考え方なら、消費者に対するアパート賃貸では「特約により賃借人の負担にします」という特約は無効です。

事件となった賃貸借契約は1998年7月締結です。その後2001年4月に消費者契約法施行です。賃貸借は01年7月に更新されて02年6月に退去となっています。

1998年の契約ならば消費者契約法施行前ですので本来は法の対象とはなりません。

しかし判決では「法施行前に締結された建物賃貸借契約が同法施行後に当事者の合意により更新された場合、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用がある。」としています。

つまり2001年4月以降に更新された賃貸借契約での特約は消費者契約法により無効なのです。

関西の「敷引き制度」も注意です。なお地裁での判決ですので、最終的な決着は不明です。



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