会計参与で決算書信頼性向上




「会計参与」で決算書信頼性向上と税理士会計士職域拡大と。



2004年7月5日 第503号

税理士と会計士はどう違う?



税理士の本来業務は「税金の申告」、会計士の本来業務は「会計監査」でしょう。「会計監査」はある会社の決算書が正しいかどうかを検証することです。

公開企業は株券を発行して他人の金を預かります。だから「会計監査」が義務付けられます。

日本の会社のほとんどは「同族経営」中小企業で、監査義務はありません。利害関係者が少なく公私混同も多く「テキトウ」な決算書が多いのも事実です。

テキトウな決算書を信頼に足る決算書にするのが新制度の会計参与(仮称)制度の目的です。

かねてから中小企業についての会計監査の必要性が言われていましたし、10年ほど前には「会計調査人制度」として法改正が議論されたこともありました。

会計士にとっては職域拡大につながります。一方で税理士業界は顧客を奪われかねません。そうして税理士業界からは中小企業については税理士にも監査ができるようにしろ、と要望してきました。

商法改正での「会計参与」



商法改正が続いています。最低資本金制度撤廃や有限会社株式会社制度一体化等が議論されています。そこに株式会社についての「会計参与」制度創設がテーマに加わりました。

株主総会が取締役を決めます。同様に株主総会が「会計参与」を決めます。会計参与は取締役会と同様に会社の機関のひとつです。そしてこの会計参与になるのは税理士又は公認会計士(税理士法人・監査法人を含む)に限られています。

会計参与は取締役と共同して決算書等を作成するのが仕事です。また会計参与は取締役とは別に、つまり独自にその決算書等を保管して株主や債権者に閲覧します。


なにやら外部の顧問税理士や会計事務所が、会社内部にはいって会計参与という名前になって、専門家として会計をチェックしながら決算をまとめ、外部に対して責任をもてる決算書をつくるということのようです。

今回の改正は会計士業界も税理士業界も納得する折衷案のようです。会計参与は監査をしないので会計士業界は収まります。そしてなにより両業界ともに職域拡大につながります。

会計参与の設置義務



もっとも会計参与を置くかどうかは各株式会社の自由です。

その会社の株式を売買するにあたり取締役会の承認を必要とする譲渡制限会社(日本のほとんど全ての中小企業がそうです)では、会計参与か監査役かのどちらかを置くことになります。

つまり会計参与を置けば監査役の設置は省略できます。

どのように変わるのか



「実態はほとんど変わらないじゃないか」・・・そうかもしれません。新制度となっても当面はほとんど変わらないでしょう。

しかし会計参与をおけばその会社の決算書類は他の会社よりは信用されるものにはなりそうです。会計参与制度の目的は決算書から取締役による虚偽記載や改ざんを抑止し、計算書類の記載の正確さに対する信頼を高めることにあるといわれているようです。

そうすれば会計参与制度をおく会社は銀行等からは評価され、融資を受けやすくなるということになるのではないでしょうか。


大企業では別の視点から使われそうです。最近は監査法人が厳しく、会計監査を行う監査法人の方針変更で破綻する銀行も目立ちます。

経営サイドとしては会社内部に会計参与という専門家を置いて監査法人をけん制できます。

なおその会社の会計監査を行う会計士や監査法人は会計参与にはなれません。顧問の税理士は会計参与になれます。

会計参与は株主代表訴訟の対象になりますが責任の限度額を定めることができます。

会計参与制度は現時点では未確定です。ただし反対がなさそうなので、法案となり来年にも国会を通過しそうです。



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