不動産譲渡損での損益通算繰越控除




昨年契約で今年引渡の不動産譲渡損での損益通算繰越控除



2004年10月11日 第516号

損益通算と繰越控除の増税


2004年度税制改正で、不動産の売却損について損益通算と繰越控除が原則不可となりました。突然の大増税でした。

2004年1月1日以降の売買から適用となりました。しかしこの税制改正法案が国会を通過したのは2004年3月末でした。

法律が成立する前から増税としたのです。納税者に不利益になる税制は法律が成立してから適用されるべきなのですが。

2004年1月1日以降に契約がなされた売買契約で生じた譲渡損を救済することはできません。

さて2003年10月に売買契約を締結して、2004年9月に物件の引き渡しがなされた不動産取引があります。

この売買による所得は2003年の譲渡所得でしょうか、2004年の譲渡所得でしょうか


引渡日か契約日か


売買取引がいつの譲渡所得になるかは、原則は引き渡しがなされた日の属する年です。だから引き渡しがなされた2004年の所得です。しかし納税者の選択により契約効力発生の年の所得として申告をしてもかまわないという扱いがあります。ですから2003年の所得として申告することも可能でした。

この売買ならどちらが有利でしょうか。

2004年度税制改正では、損益通算と繰越控除の増税はありましたが、減税もなされています。

不動産の長期譲渡税率は26%から20%へと引き下げられ、短期譲渡税率は52%から39%へと引き下げられました。

一方で長期譲渡100万円特別控除廃止という増税もありますが、譲渡益が大きければ2004年の譲渡としたほうが有利です。わざわざ税率の高い2003年として申告することはありません。

しかし譲渡益ではなく譲渡損の場合には事情が変わってきます。そもそも利益が出ないのですから税率が下がっても関係ありませんし、引渡年の2004年分の譲渡として申告すれば損益通算も繰越控除も不可になります。

しかし契約年の2003年分の譲渡として申告をすれば損益通算も繰越控除も使えます。つまり譲渡損であれば契約年である2003年分として申告することが明らかに有利なのです。

とはいうものの2003年10月に売買契約を締結して2004年9月が物件引渡予定なのですから、確定申告時期の3月にはまだ売買代金全額を受領していません。

その状況下で2003年分の譲渡として2004年3月に申告納税する人は少ないはずです。

そして2003年分の申告期限である2004年3月に申告しなければ、引渡年の2004年の所得となってしまうのが実務です。結果的に2004年分の譲渡とすることになり、損益通算も繰越控除も不可になります。


2003年契約分の救済策


さてこのような2003年に契約をして2004年に引渡しの売買契約で、2003年分の譲渡として申告をしていなかったケースについて救済されることになりました。

国税庁が2004年8月4日付けで各国税庁にその旨の事務連絡を行いました。

このようなケースではこれからの新規申告(期限後申告)ないし申告やり直し(更正の請求ないしは修正申告)を認めるという救済策です。諦めていたケースも多いようですので朗報です。


契約実態がないものに注意


国税庁の事務連絡には次の一文がはいっています。「事案の処理に当たっては、平成15年中の契約の実態がないものについて認めることのないよう、十分留意すること。」

この扱いで2003年に売買契約を締結し2004年に引き渡しをしたケースは救済されます。しかし契約日が2004年1月以降の契約は救済されません。

国税庁はこの2004年1月以降の契約分について「2003年に売買契約したことにして」の申告が行われることを予想し、それについて「現場で厳しく注意しろ」といっているのです。



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