自己競落→占有排除→転売




「自己競落→占有排除→転売」が不良債権処理の最終処理



2004年11月1日 第519号

不良債権処理の最終処理方法に自己競落があります。

銀行はA社にA社自社ビル担保に10億円を貸付け、不良債権化させました。A社が任意売却に応じなければ銀行は競売申し立てです。2億円で競落されれば銀行はその2億円を回収です。

銀行は残債8億円の処理に困ります。税務署には「保証人がいる」「少しずつでも回収できるだろう」と言われ、処理は面倒です。そこで債権譲渡です。

銀行はA社への額面10億円の貸付金と抵当権とを債権回収業者等に1億円で売却します。

銀行は貸付金を売却したのです。だから「貸倒損失」ではなく「貸付金の売却損失」であり、その後の回収可能性はないですから、売却損失9億円は税務上で問題なく処理できます。

債権回収業者の競売申し立て


貸付金は銀行から債権回収業者に移りました。回収業者は額面10億円の貸付金を1億円で買いました。だから額面は10億円でも税務上の原価は1億円です。

回収業者はビルを競売にかけます。誰かが2億円で競落してくれれば、1億円で買った貸付金から2億円を回収して1億円の利益で取引完了です。

しかし単純なことばかりではありません。回収業者が「このビルについて、A社を立ち退かせ、そして多少手を加えれば、3億円で売却できる」と確信しました。競売で2億円回収するのではなく、手を加えて3億円を回収しようとするのです。

回収業者の立場は銀行に代わっての債権者です。抵当権はありますが、それをもってA社を立ち退かせることはできません。

強制的な立退きには競売です。競売なら裁判所の引渡命令で、A社の占有を強制排除できます。

だから回収業者が「自己競落」します。つまり回収業者はA社自社ビルの競売を申し立て、それを自分で競落するのです。


自己競落するとどうなるか


第三者が2億円で競落すれば、その第三者は裁判所に2億円を払い込み、裁判所はその2億円を回収業者に配当として払います。回収業者はその2億円をA社への額面10億円の貸付金の一部弁済に充当し、残額が8億円になります。

しかし自己競落ならばそんな面倒なことは不要です。

回収業者は貸付金を10億円から8億円に帳簿上で減額すればいいだけです。債権者による競落なら配当を受ける額との差引納付でいいという制度があるのです。(この場合の差額はゼロ。)

回収業者は資金繰り不要で、競売手続きにより、債権者から担保不動産所有者に変身します。


さて回収業者はいくらで入札するでしょうか。10億円で入札してもいいのです。

それはA社に対し額面10億円の貸付金があるから結果的に差引納付で1円の支払いも不要なのです。世間相場を大きく超える10億円で入札すれば、回収業者は確実に落札できるでしょう。

これが自己競落です。確実に競落できて、資金繰りの必要がありません。そして競売なので債務者等の占有者を強制的に排除することができます。


回収業者は10億円で競落したビルに手を加えて3億円で転売します。これで取引完了です。

税務と会計が複雑


まず額面10億円の貸付金は銀行から1億円で買ったので、原価は1億円です。自己競落で形式上10億円回収しましたので9億円の回収利益です。ビルは10億円で競落したものを3億円で転売なので転売損失7億円です。

利益9億円と損失7億円で差引き2億円の利益となります。貸付金を1億円で買ってきて、不動産売却で3億円回収したのだから確かに2億円の利益です。

不良債権処理の最終処理


担保不動産が誰かに競落されないと処理は終わりません。また安値競落されても困ります。確実なのは自己競落なのです。

不動産担保付の不良債権の最終処理は、債権譲渡→自己競落→占有者排除→最終の任意売却、で本当の最終処理となります。



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