定期借地権の一時金課税




2005年度税制改正…定期借地権の一時金への課税が変わる



2004年12月27日 第526号

あるパチンコ業者(P社)の店舗がオープンしました。敷地は地主Aさんから20年の事業用の定期借地権で借用したものです。

地代の他には、返還不要の一時金3000万円と20年の期間満了時に返還の保証金4000万円です。


P社はこの7000万円の全額を経費として損金参入します。税務調査により保証金4000万円は20年後に戻る金だから貸付金同様なので損金に認めないと指摘されこれは修正申告に応じます。

問題は一時金3000万円。一時金は20年後にも戻らないし、払いっぱなしだから損金で当然と主張します。しかし税務署は現行税制では「借地権」とし資産計上すべき、減価償却の対象にもならないと、税務否認します。

国税不服審判所は「事業用(定期)借地権は、…あくまでも借地権の一形態として規定されており、借地権には変わりがない」とし、P社の主張を認めません。(不服審判所2002.9.17.裁決)

たしかに税法上では借地権は資産に計上すべきものであり、減価償却できないものです。

定期借地権であっても借地権の一種だから同じように処理しろ、ということなのです。

税務署の言う通りに処理すれば一時金は「借地権」として20年間にわたって資産計上を続け、20年後に土地を無償で返還したときに全額を損失処理します。


定期借地権でなく従来の普通借地権ならどうでしようか。たとえ借地契約書に20年後に返還と記載されても、それは法的には無効で返還せずに済みます。

そのためP社は半永久的に土地を使えます。返還するなら立退料(借地権の対価)として例えば3000万円を回収できるかもしれません。それならば資産計上してもいいのでしょう。

しかしこの定期借地権は20年後に確実に無償で立ち退きなのです。ここが大きな違いです。

なお、P社の争いでは貸し手Aさんの税務処理は触れられません。Aさんはこの一時金3000万円については、土地を貸したときに一括に課税を受けます。

特にAさんが個人なら、所得税は累進税率ですから、高税率での課税を受けたはずです。


2005年度税制改正で是正


この一時金への課税は不合理でした。ついに2005年度税制改正でこの一時金への課税が改められることになりました。

「定期借地権に係る税制上の所要の措置(一時金の取扱いの明確化)…定期借地権の一時金を、一定の契約に基づき賃料の前払いとして一括授受する場合は、借地人、土地所有者それぞれについて、期間に応じた費用化、収益計上を可能とさせる取扱いの明確化を図る。」

(国土交通省平成17年度税制改正主要項目結果概要…自民党税制改正大綱には盛り込まれていませんが、何らかの通達等で改正される見込みです。)

P社のケースは一時金3000万円を、20年分の地代の前払いとして契約すれば、20年間での繰り延べ処理が認められます。

3000万円は向う20年間の地代の前払いなのです。P社は3000万円を前払金として資産計上し、そこから毎年150万円を地代として損金処理し、20年後には前払金の残高ゼロになります。

一方で、貸し手のAさんは、3000万円を前受金として処理し、そこから毎年150万円づつ20年間にわたり受取地代として課税を受けることになります。一括課税による累進税率での重い課税を回避することができます。

一般定期借地権の戸建住宅


期間50年の一般定期借地権方式の戸建住宅については50年後保証金返還方式が主流です。

そうなったのはこの税務が大きな理由のひとつです。本来は返還不要の権利金(一時金)方式にしたかったのです。

しかし一時金にすれば地主が課税を受けます。そのためにやむをえず保証金が慣行となったのです。

定期借地権の使い勝手が格段によくなります。不動産関連の2005年度税制改正ではインパクトの大きな改正です。

大使館とお寺と病院と学校の土地なら「定期所有権マンション」 第166号1997年7月7日




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