減損会計強制適用と不動産処理




減損会計は2006年3月強制適用。不動産処理のクライマックス。



2005年2月7日 第531号

減損会計が2006年3月期に強制適用です。減損会計をにらんでの不動産処理は2005年がクライマックスとなります。

減損会計とは単純な時価主義とは違います。その資産が将来生み出す見込みのキャシュフロー(回収可能額)で、投資額(帳簿価格)が回収ができないとの兆候があったときに、回収不能額を算定し資産を減額します。

強制適用前に前倒し適用している会社も多くあります。ソニー2004年3月期の損益計算書注記をみてみましょう。

「インターネット関連ビジネス用ソフトウェアについて、当該ビジネスの市場開拓の遅れ等により、将来キャシュフロー見積期間にわたって回収可能性が認められないため、その帳簿価格を…減額し…減損損失として特別損失に計上しました。」

この減損損失は約5億円。ソフトウェアの帳簿価格からの回収不能見込額が5億円なのです。

「栃木県宇都宮市に所有する建物および土地等の不動産価値が大幅に下落したことにより、その帳簿価額を回収可能額まで減額し…」「回収可能価額は正味売却価額により測定しており、建物および土地については、近隣相場により評価しています。」減損は7億円です。

二つの回収可能額


特に不動産の場合にポイントは「回収可能額」です。

回収可能額は次の二つのうち高額のものを選択できます。

一つ目は正味売却価額。

二つ目は使用価値。
その資産を使うことで将来いくらお金を稼ぐか、です。将来のキャシュフローを現在価値に割り引いた金額の合計額となります。

ソニーについて、ソフトウェアは後者、不動産は前者でした。

売却価額についてはソニーは「近隣相場」とありますが、会社により「路線価」「公示価格」「鑑定評価額」と様々です。

 

割引率次第の使用価値


大きな差となるのが使用価値評価の際の割引率です。いわば収益還元価格での割引率です。

割引率を高くすれば使用価値は安くなります。低くすれば高くなり、減損を免れます。


損保ジャパンの割引率は6.0%から9.5%、東急電鉄は2.1%から5.0%を使います。

これほどに割引率が違えば同し不動産でも使用価値は倍以上の差も生じます。余裕のある会社と苦しい会社との違いです。

資産のグルーピング


賃貸ビルならばそのビル単体で収益やキャシュフローをみることができます。

しかし製造業の営業所等単体ではキャシュフローは分かりません。本社や工場と有機的につながり始めて儲かるからです。

資産をグループ分けし、儲けの単位を定めて、単位ごとに減損するかどうかを判断します。

東京電力は「発電から販売まですべての資産が一体」だとして電力事業を1単位とします。損保ジャパンは保険事業全体で1つの単位です。

電力事業全体や保険事業全体でキャシュフローが回っていれば、その単位内での個別不動産が値下がりがあってもその不動産に減損は不要です。

りそなホールデングス(銀行)での営業店舗は、一定の地域ごとを単位としています。

賃貸ビルや遊休資産は物件ごとに1単位になるのが普通です。

キャシュフロー改善が対策


その不動産がキャシュフローがよければ近隣相場下落でも減損不要かもしれません。

減損したくなければ収益を増やす方策でそれを免れます。テナント入れ替え・用途転換・大規模修繕・管理費軽減等が減損会計対策となるのです。

業績に影響が出ないようにと、減損会計対策で、含み損益組み合わせ処分や証券化もあります。


減損会計の対象は上場企業や大会社です。体力があるところは既に対応完了のはずです。

強制適用を前にして、体力のないところの対応は待ったなし。今年は大企業による不動産処分のクライマックスです。



cats_back.gif





バードレポートとは


 
clip_blue_1.gif




前号

次号


関連する項目
不動産ビジネス手法
不動産証券化
不良債権処理
不動産と金融会計

このレポートと同じ年分リスト
2005年リスト




あんしん生命資料請求
  • 使わなかったら払った保険料が全額戻ってくる医療保険

保険ショップインフォ
  • 地域から探す
  • 保険ショップの使い倒し方

保険ショップ


バードレポート

Google
Web検索
当サイト検索

バードレポート項目別
不動産ビジネス手法
不動産賃貸経営
不動産と金融会計
定期借地権定期借家
不動産証券化
債務整理と企業再生
不良債権処理
債務処理の税務
相続税対策申告
路線価評価相続評価
物納と相続税調査
譲渡税買換特例
住宅税制住宅減税
固定資産税
税制改正
その他不動産税制
その他税制
相続対策と遺産分割
生命保険
その他不動産関連
その他
トピックス版・年別リスト
カネボウ劇場
発行元情報

バードレポート発行順
発行年順リスト
clip_blue_1.gif
clip_blue_3.gif