担保不動産収益執行制度




担保不動産収益執行制度…競売する代わりの賃貸ビル経営



2005年5月9日 第544号

2004年4月に不動産担保権実行の新制度「担保不動産収益執行制度」が始まっています。

金融機関による債権回収方法としては有利過ぎると思えるほどの制度です。

しかし知られていないせいなのか、思いのほか活用されていないようです。不動産鑑定2005年4月号によれば、2004年末までの申立実績は東京地裁では15件、大阪地裁では13件です。

改正民事執行法では


この制度は改正民事執行法第180条に定められています。

不動産担保権の実行の方法として、担保不動産の競売による不動産担保権の実行以外に、担保不動産収益執行(不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法による不動産担保権の実行)の方法が認められるようになったのです。

担保不動産収益執行制度では裁判所は管理人を選任し、その管理人がその不動産について管理ならびに収益の収取をおこなうことになります。つまり選任された管理人が不動産賃貸管理の業務を行うのです。

物上代位による賃料差押


似たものとして物上代位による賃料差押があります。銀行(債権者・抵当権者)は大家さんの借金の担保としている賃貸ビルの入居テナントに対し、「家賃は大家さんに払わないで下さい。その代わりに銀行に払って下さい。これは裁判所が認めたことです。もしも大家さんに家賃を払ったとしても、それは法的には払ったことにはならずに、二重払いになりますよ。」と通知します。銀行は家賃を確保し、借金弁済の一部に充当します。

しかし問題があります。銀行にできるのは家賃を押さえることだけで、ビルの維持管理はできません。大家さんにお金はないはずですから家賃が止まればエレベーター維持費も払えないはずです。そして不安になったテナントは他のビルに移転しようとします。エレベーターは止まり、ビルは荒れ果てて、ビルは空き家になり、差押えるべき家賃もなくなります。

大手銀行等ではテナントの家賃部分だけを差押え、テナントが払う管理費相当額は差押えないことも多いようです。

つまり管理費実費部分は大家さんに残し、最低限の管理だけはさせようとします。

しかし貸金業者によっては家賃ばかりでなく管理費相当額も押さえてしまいます。

あとは野となれ山となれ、目先のお金さえ押さえればいいというのでしょう。じきにエレベーターは止まります。

担保不動産収益執行制度


新制度の担保不動産収益執行制度は単に家賃を押さえるのではなく賃貸ビル経営権そのものを大屋さんから取り上げる仕組みと考えたらいいでしょう。

裁判所から選任された管理人である弁護士や執行官、ないしは更に委任をうけた不動産管理会社等がビルの経営実務をするのです。

それが収益執行管理です。家賃をとるだけでなく、適切な管理や修繕を行います。テナント入れ替えも行います。


キャシュフローを最大にして、そのキャシュフローを滞っている借金の弁済に充当するのです。

担保不動産が優良で大規模な賃貸ビルや賃貸マンションであるのならば、競売にかけて叩き売ったり、目先の家賃だけの賃料差押えするよりも、長期間の安定的な収益をうることができるこの制度が有利なはずです。

まずは競売せずに新制度の家賃で貸金回収をすすめます。何年間かを家賃で回収し、それなりの回収のめどが立ったら競売です。競落価格が上がるように改修等をしてビルの価値を高めることも可能でしょう。

競売時の短期賃貸借保護無しと改正済みなので、多くのテナントは、競売により敷金は戻りません。テナントは絞るだけ絞られてから追い出されます。


債権者にとってうまく使えばなんとも有利な制度です。なお賃料差押の制度も並存します。


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