相続税調査…贈与課税




相続税の税務調査…納税者は「贈与だ」、税務署は「違う」



2005年5月16日 第545号

親が子に渡し、子が使ってしまったお金が何億円もあります。

贈与かどうかはっきりしないお金でした。ずるずると年月が経ち、親が亡くなり、相続税の税務調査となりました。

この何億円ものお金はどのように課税されるのでしょうか。

子に渡った32億円


Aさんは自分が役員をつとめる会社から2億円を借り入れて、昭和63年にNTT株式の投資に2億円を投入します。株価は値下がりを続け塩漬けとなります。会社からの借り入れ2億円を返済できません。

会社側からみれば役員貸付金が不良債権化したことです。取引銀行はそれを問題視します。

Aさんの父親は、絵画収集で有名な、大手製紙会社の太っ腹ワンマンオーナー社長です。

父親は「出してやれ」と経理担当者に指示します。平成2年に父親個人の預金から2億円がAさんの口座に振り込まれ、Aさんはこの2億円で会社に借り入れの返済をします。

Aさんの兄弟Bさんは平成2年に会社からの借金10億円による株式投資で失敗。父親は「出してやれ」と平成3年にBさんの口座に10億円を振り込みます。


別の兄弟Cさんは株式投資に失敗して20億円の借財がありました。父親の「出してやれ」で、20億円が振り込まれます。

それぞれ、贈与契約書や金銭消費貸借契約書等の書類作成、贈与税の申告書提出、親から子への返還請求、はありません。

父親は平成8年に亡くなります。その相続税の税務調査において子ABCへの振込額合計32億円が問題となります。

相続税の税務調査で


子ABC側は、贈与と思っているし返還を求められたことは一度もないとして、この32億円は贈与でもらったと主張します。

贈与契約書もないし贈与税の申告もしていないけれど、贈与に間違いはないと主張します。

32億円の贈与を受けた平成2年・3年の贈与税は既に時効になっていますから、税務署側からは課税できません。

贈与税は払っていないし、払わないけれど、32億円は事実贈与されたものだから相続税の課税対象ではないというのです。


これに対して税務署側は次の主張をします。

取引銀行から返済を迫られた会社を救済するために、32億円の返済資金として親から子ABCそれぞれに渡したものであり、贈与契約書もないし贈与の合意もない。贈与ではなく返済のための立替金(貸付金)だ。

ただし父親は自分が死んだなら子に対しての立替金を免除する意図だった。自分への立替金を自分が受ければ実質的に免除になる。つまりこれは立替金の死因贈与契約であり、この32億円は遺言により債権を取得したと同様に相続税の課税対象となる…と苦しい主張をします。

贈与でなく死因贈与ならば遺言による遺贈と同様に相続税の課税となるからです。

何とか課税したいのでしょう。しかし32億円はきっちりと銀行を通じて子の口座に振り込まれ、その後もABCそれぞれが自分のお金としてきっちり管理し、返済にまわしたようです。

そのため税務署は「実質的に親の財産」という主張での課税処分ができず、このような苦しい理屈で、32億円への相続税の課税処分を行ないました。

裁判所は贈与と認める


平成17年3月30日に静岡地裁は判決を下しました。

32億円を渡したときに父親は経理担当者に「出してやれ」といっただけで、贈与なのかどうかは明確ではなかった。

しかし経理担当者も子ABCも贈与の趣旨と理解した。返還を求められたこともなく返還する能力もなかったのだから、立替金とはいえない。

贈与税の申告をしていないからといって贈与がないとはいえない。だから32億円は贈与だ。

ABC側の主張がそっくり通り、32億円は何の課税もないままに親から子へ流れました。

預貯金名義変更や他人名義預貯金は「贈与」とは限らない
2005年4月18日 第541号




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