同族会社デットエクイティスワップ




同族会社貸付金はデットエクイティスワップで相続税対策



2005年10月17日 第565号

回収が危ぶまれる貸付金


相続税は相続開始時の財産について課税されます。評価は「時価」が原則です。しかしこの「時価」というものが微妙です。

相続開始時に1億円の貸付金があればこの貸付金は1億円の財産として課税されます。しかし貸付先が破産しおり額面は1億円であっても実際の回収可能額はゼロかも知れません。破産で回収不能なら税務署は時価ゼロでも納得するでしょう。

しかし貸付先が債務超過であり存続不可能の可能性があっても、相続開始時に存続していれば、税務署側は時価1億円だというでしょう。仮にその後にその貸付先が破産したとしても相続税は相続開始時の評価であり、相続開始時にはその貸付先は存続しているのですから時価ゼロの破産債権とはいえません。


実体のない財産へも相続税


このような実体のない貸付金が相続財産に含まれていると相続税に苦労することになります。

そしてこのような貸付金は、自分が経営する会社、あるいは息子の会社等の同族会社へのものが多いはずです。第三者に対し無謀な多額の貸付をすることはないでしょうから。

また永年の役員報酬や会社から受取るべき家賃地代の未収がたまり多額の貸付金になってしまったケースや、何らかの事情で個人が不動産売却代金等の多額の資金を会社に投入してそのままになったケースもあります。

実質的に回収不能であれば、それは名目上の貸付金に過ぎず、実質は資本金のようなものです。そしてこの貸付金を残したまま相続が開始すると、実質回収不能なのに貸付金として相続税課税されるという悲劇になります。

この場合での簡単で最大の相続税対策は債権放棄です。

この貸付金債権を放棄します。会社に対し債権放棄の通知を行います。そうすることでこの貸付金を相続財産から消します。


ただし債権放棄は法人税課税です。債権放棄は受ける側から見れば債務免除となり、債務免除益として法人税の課税対象です。多額の赤字や繰越欠損金があればともかく、そうでなければ多額の税金を払ってまで債権放棄はできません。

債権放棄でなければDES


DES(デット・エクイティ・スワップ)という仕組みがあります。ダイエーその他の不良債権処理にあたって銀行と債務者との間で多用されました。銀行の貸付金の一部について、貸付(デット)を資本(エクイティ)に変換(スワップ)してしまうのです。銀行が貸付金を現物出資して株式にしてしまうのです。銀行としては単に債権放棄するよりも株式に変換することで将来の回収可能性を残します。

これまでは貸付金を現物出資するには、裁判所の定める検査役の検査が必要(例外あり)で、面倒であり日数を要しました。

改正会社法(2006年5月施行見込み)で中小企業でも極めて簡単にDESができることになります。弁済期が到来している金銭債権をその債権額(額面金額)以下で現物出資するのであれば検査役の検査が不要になります(会社法207条9項5号)


登記申請が必要ですが会計帳簿を添付するだけでOKです(商業登記法56条3号)。つまり議事録その他書面だけで対応が完了することになります。

1億円の債務免除益なら1億円への法人税課税です。しかしDESにより1億円の貸付金を現物出資により1億円の資本金に変換するのならば、会社にとっては借入金が資本金に代わっただけで債務免除ではありません。だから法人税課税はありません。

DES後であっても会社が債務超過のままなら1億円の株式の相続税評価額はゼロでしょう。

債務超過でなかったとしても、同族会社株式の相続税評価ならばその評価の仕組みから1億円よりずっと低くなるはずです。相続税の問題は解消できます。


なお債権放棄等で他の株主の株式価値が上がるとそれが贈与とみなされる可能性もあります。



(注)その後平成18年度税制改正により、課税の扱いが変わっています。ご留意ください。


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