遺言書の効力・株式所有と会社支配




遺言書は新しいものが有効・株式所有と会社支配は違う



2006年4月17日 第589号

「一澤帆布」という京都の有名なカバンやさんの遺言問題がマスコミをにぎわしています。

この会社は創業者とその三男が育てました。長男は銀行員になり会社経営にはノータッチ。

父が亡くなります。平成9年12月12日付の自筆証書遺言がありました。和紙に毛筆、実印が押されています。会社の株式の多くを三男に相続させ、預金等を長男に相続させる内容です。

三男夫婦は持ち株と合わせて株式の7割を所有します。

しかし死後4ケ月経て、第二の遺言書を長男が出してきます。平成12年3月9日付、便箋にボールペン、三文判。この遺言では長男等が株式を相続し会社の支配権を握ることになりました。

この第二の遺言書の真贋が争われます。京都地裁は2003年に、長男側提出の「遺書は真正」との鑑定書を採用し、「第二の遺書は偽造とはいえない」と認定。最高裁まで争ったものの、結論は変わりません。こうして株式は長男のものと決しました。

新しい遺言が有効


遺言書は何回書いてもOKです。一番新しいものが有効になります。最初の遺言は、和紙・毛筆・実印と一見して権威があります。しかし便箋・ボールペン・三文判であっても、新しい遺言が有効なのです。

また最初の遺言が、公証人による公正証書遺言であっても、その後に便箋・ボールペン・三文判の手書き遺言書が作成されれば、重複する内容において有効となるのは、新しいその手書きの遺言(正式には「自筆証書遺言」という)です。


ある方は毎年お正月に遺言を書きます。一年間のお子様全員の親孝行度合いと行状を採点し、その結果を遺言書上での財産の分配に織り込みます。そして仏壇にその遺言書をしまいます。この採点をはじめてから子供たちはより親孝行になったとか…。

なおしっかり日付の書かれていない遺言は無効です。「3月吉日」も無効です。ワープロでは自筆証書遺言としては無効です。すべて自筆でなくてはいけません。そして仏壇に遺言があったとしても、誰も見つけなかったり、最初に見た誰かが破って捨ててしまう、といったリスクが自筆証書遺言にはあります。

ただ、そんなリスクもありますが、簡単に自分の意思を実現できるのが自筆証書遺言です。

議決権の過半数を握っても


カバンやさんの会社では、議決権の過半を握った長男が、自ら代表取締役になります。

「裁判で勝った私が新しい会社の社長」。しかし元銀行員の新社長の思い通りになりません。

従業員は「ハサミも持ったことのないあんたが、なんで今さら経営なんや」。職人70人全員が会社を去り、別の新会社で三男と職人が新商標でカバンつくりを始めます。原材料の納入元は、新会社にしか卸しません。元の会社は空っぽになりました。

さて会社は株式の51%を所有すれば支配できます。少数株主には帳簿閲覧権等はありますが、所詮それだけです。帳簿を精査し使い込みを見つけ背任で訴えるといった「嫌がらせ」をする権利ぐらいしかありません。過半数を握らなければ会社支配の意味がないのです。

しかし嫌がらせは、いやなものです。後継者を決めたら株式を分散させないことです。「相続税対策」と称し、株式を広く親族に分散させる事例がありますが、後継者は必ず苦労します。

もっとも、カバンやさんの会社では、長男は遺言により磐石の支配権をにぎったはずですが、株式だけでは会社は支配できないという現実がありました。

このカバンやさんは、現実の支配権を少数株主の三男が握っていたのです。後継者に力量がなければいくら株式による支配権があってもダメなのです。

もちろん、技術と人が不要の、不動産を所有するだけの資産所有会社であれば、株式による支配権だけが勝ちます。

AERA2006.2.10と週刊ポスト2006.3.24を参考にしました。

相続で分散した同族株式を力ずくで高く買い取らす方法 2002年8月5日 第410号



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