相続税物納と生活費




相続税を物納する為には生活費を切り詰めないといけない?



2006年11月13日 第616号

相続税の物納制度は2006年4月1日の相続開始分から大改正です。ただし2006年4月1日相続開始での相続税申告期限は2007年2月1日です。法改正済みですが実際の運用はそれからです。

金銭納付を困難とする理由書


物納が認められるのは、現金納付が困難であり、かつ延納(最長20年間の分割納税)によってでも納付困難な金額だけです。

物納申請に際しては、その説明のために「金銭納付を困難とする理由書」が求められます。もっともかつては「本当に金銭納付が困難か?」が厳密に審査されることは少なかったようです。この理由書のつじつまがあっていればOKだったようです。

子が医学部進学予定、住まいを建替え予定だから、等で現金が必要なので物納せざるを得ないとのつじつまが通ることも多かったのではないでしょうか。

しかし最近では理由書の記載内容について税務署から照会が入ることもあるようです。つまり相応のチェックが始まっているということでしょう。

理由書の書式変更


そして物納制度改正にともない「金銭納付を困難とする理由書」の書式が変わりました。

従来なら「納税者固有の現金預貯金等」としてまとめて合計幾らとザックリと書けばよかった相続人固有の財産額も、現金・預貯金・換金の容易な財産(ゴルフ会員権や解約負担の少ない生命保険等)、とに分けられ、明細欄まで用意されました。

相続財産中換金容易な財産額から相続債務と葬式費用等を差し引き、これに前記の相続人固有の財産合計額を加え、そこから生活費について3ケ月だけ、事業をしているのなら事業経費を原則1ケ月分だけを差し引いて、あとは全てを、そのまま金銭で相続税として納税してしまうという算式になっています。

つまり生活費3ケ月分だけを手元に残し現預金の全てを相続税として金納せよというのです。

物納のため生活費切り詰め?


その生活費も算式になりました。本人に認められる生活費は1ケ月10万円、配偶者その他親族は1ケ月4万5000円。これに社会保険料や税金分を加えます。

教育費や住宅ローン等の特殊事情を加味していい(説明や資料が必要)とはなっています。

ただし、3人世帯に認められる基本生活費1ケ月分は19万円(=10万円+4.5万円×2人)です。

物納が認められる金額は延納によってでも納税できない金額です。毎月の収入からこの19万円等は残していいものの、超えた金額は延納での毎年の納税額に充当する算式になっています。つまり物納するならずっとこの生活費ということです。


健康で文化的な生活を維持するための生活保護制度があり、そのための扶助基準があります。仙台市のHPによると同市では標準3人世帯なら165,078円です。

つまり物納するなら生活保護に近い生活レベルにまで切り詰めて相続税を払えというのが、国税庁「金銭納付を困難とする理由書」での物納基準なのです。

また理由書には納税者本人だけでなく配偶者その他親族の収入を記入する欄があります。

さすがに配偶者の収入で相続税を払え、とまでは言いません。ただ配偶者に収入があるのなら、例えば前記19万円生活費について、その収入で按分して納税者本人が負担すべき生活費だけが留保を許される生活費です。

配偶者と本人とがもし同収入なら、物納するために手元に残していい生活費は月額9万5000円(=19万円÷2人)となります。

また1年内受給予定の退職金は納税に充当しろともあります。

物納には覚悟が必要?


「生活費で残すのは3ケ月分限り」「納税者本人が負担すべき生活費に限る」は相続税法施行令での明確な定めですが、具体的な金額等は法律にはないものですし、税務署がどう運用するのかは、これからの課題です。

ただし以前のような甘い運用とは違い厳しいでしょう。相続税の物納には覚悟が必要です。

物納手続き厳格化…生前での物納条件整備が相続税対策 2006年3月6日 第583号




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