名義変更と贈与税課税




贈与なのか相続か…「相続だ」と税務署、納税者は「贈与だ」



2006年11月27日 第618号

贈与税は二つ制度があります。

2500万円まで非課税だけれども将来の相続税で精算される相続時精算課税制度と、基礎控除が1年当たり110万円ある従来型贈与とがあります。

この従来型の贈与制度を使い子や孫に毎年の贈与を続けると、かなりの財産を移転することができます。

ただ贈与の仕方には注意が必要です。預貯金についてはその名義に関わらず、誰が実質的に支配管理しているかが問われます。贈与したと主張しても贈与にならないことがあります。

今回はAさんの教訓です。

納税者は「贈与だ」


Aさんには子が4人いました。相続税対策と思い親は毎年『贈与』を続けました。

子それぞれの名義の預金通帳に毎年自分の預金から子の預金に資金を移し続けます。最初のうちはかなりまとまった金額を移したのですが、税理士からの「まとまった金額を贈与したら贈与税がかかるから、毎年60万円の贈与がいい」とアドバイスされ、毎年60万円の『贈与』とすることにしました。

なお現在の贈与税非課税枠は110万円ですが、当時は60万円だったのです。

1年間に60万円までの贈与ならば贈与税はかからないし、贈与税の申告も不要です。

子の一人は「生きている間はお前たちに毎年60万円づつやる」と親から聞いています。

親はその『贈与』を続け、そして亡くなります。子名義の預金は一人当たり1000万円となり、4人分で4000万円を越えました。

そして相続税の税務調査です。この4000万円が問題となります。納税者側はこれは生前に『贈与』されたお金と思っていますので、相続税の申告対象に含めなかったのは当然です。

しかし税務署側はこの4000万円は相続財産だとして課税処分を行い、裁判となりました。

税務署は「贈与ではない」


税務署側は次のように主張します。

子名義の預金はすべて親の預金からのものであり、いずれも親の財産だ。

子名義の預金の管理及び運営はすべて親が行っていて、通帳及び印鑑も一切親が保管し、銀行の手続きもすべて親が行い、子らはその子名義の預金について具体的に何も知ることがなかった。

子の一人がこの預金からマイホーム新築資金400万円を都合するに当たり親の許可を得ていることからも、親の財産であることは明らかだ。また贈与税の非課税枠を越えている年もあるが贈与税の申告もしていない。

平成2年3月30日に名古屋地裁判決となります。

「親は相続税の課税を回避するため、子の名義を使つて預金の積立てを開始し、途中友人の税理士の助言を容れて、贈与税がかからないよう、その非課税限度額内で預金を続けたが、その管理、運営及び払戻しについては、すべて自らの判断で行っていたものであり、一方、子はその名義が使用されたほかは預金の形成、管理、運営又は使用に関与することはなかったのであって、かかる場合、この預金は親の財産であって、子の財産ではなかった。すなわち、この預金は相続財産に帰属すると認めるのが相当である。」

贈与したつもりだったのに、全部が相続税の課税対象となったのです。毎年60万円の贈与税の非課税枠を使って『贈与』したつもりの部分すらも贈与があったと認められず、それは単に親が子名義を使って預金して相続税の回避をしただけだ、との結論となってしまいました。

親の気持ちは税務署を乗り越えられなかったのです。

このケースで預金通帳を子それぞれが管理していて、そこに毎年60万円が親から子に振り込まれていたのであれば、また60万円でなく61万円として、必要な贈与税申告を行っていれば、税務署が課税処分をすることはなかったでしょう。

相続税の税務調査…納税者は「贈与だ」、税務署は「違う」。2005年5月16日 第545号




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