消費者団体が事業者に差止請求




消費者団体が事業者に差止請求…第一号はアパート賃貸契約



2008年4月21日 第685号

消費者契約法は2001年4月に施行されました。「事業者」と「消費者」との契約で事業者に不当行為があれば消費者は契約を取り消せます。

消費者契約での被害は、同じ被害が多発します。消費者一人一人は消費者契約法で個別に救済できますが、同種の被害の広がりを防止できません。そこで事前に消費者被害の発生拡大を防止する方策が考えられました。

EU諸国では被害が発生する前に、消費者団体が事業者の不当行為に対し差し止め請求をできる消費者団体訴訟制度を導入していました。

日本では2007年6月施行の改正消費者法で実現されました。

内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体(現在全国で5団体)は事業者に対し書面による事前請求を行った上で、差し止めの訴えを裁判所に起こせます。


判決が確定すれば内閣総理大臣及び国民生活センターがそれを公表します。事業者が判決に従わなければ事業者は消費者団体に対して「従うまで一日当たりいくら支払え」と命じられます(「間接強制」といいます)。

第一号は京都の賃貸借契約


2008年3月25日に、消費者団体訴訟制度の訴え第一号が京都地裁で起こされました。

消費者団体がある不動産会社に対し「この事項の意思表示を行ってはならない」「契約書用紙を廃棄せよ」と訴えました。

京都はアパート賃貸借と消費者契約法の戦いでの火薬庫です。争いはまず京都で火を噴きます。

2004年の敷金返還訴訟は消費者側の勝利でした。通常損耗を契約者に負担させることは消費者契約法で無効とされました。

しかし2008年1月30日には更新料訴訟で更新料有効との判決を受け、事業者側はとりあえず勝利し、ホッしました。しかしそのわずか2ケ月後の3月25日に訴えられたのです。

具体的な問題とされたのは賃貸借契約において設けた定額補修分担金条項です。

退去時の通常損耗の原状回復費用は貸主負担、タバコの焼け焦げなど特別損耗は借主負担です。しかし両者の境界は微妙でトラブルになるところです。そこで通常損耗と特別損耗(故意重過失を除く)とを合わせて定額精算で済ませトラブルを回避しようとする特約条項でした。

これについて通常損耗を消費者に負担させることになるから消費者契約法で無効だ、この特約について意思表示をするな、この特約契約書を廃棄しろ、と消費者団体が訴えたのです。


全国賃貸住宅新聞2008.4.7号によると、この不動産会社では定額補修分担金条項はすでに廃止しているから差止請求の対象外だし、定額補修分担金条項は民法が認める損害賠償の予定なので、消費者契約法に違反せず合理性があると主張しています。

訴状によればこの不動産会社は「書面による事前請求」を送り返したとありますので確信をもって正面から戦うようです。

前回はお互いに大弁護団を組みました。今回はどうでしょう。

消費者団体訴訟制度への対応


個別の論点については裁判所が回答を出すでしょう。

しかし事業者は消費者団体訴訟制度の存在を前提にビジネスをしないといけません。適格消費者団体になれば対象を自由に定め狙い撃ちができるのです。

不当な勧誘行為は訴えの対象です。元本保証のない金融商品を「確実に値上がりする」と説明して販売すれば確実に差し止めの対象でしょう。では疾病による入院では給付金が出ない「傷害保険」なのに「医療保険」と誤解させる、いや誤解しそうなCMはどうなのでしょうか。

消費者団体には行政の判断なしで、自らの判断だけで一方的に書面を送りつけた上で、どの事業者に対してでも差し止め訴訟をする権限が付与されました。

場合によっては訴えられたことが報道されるだけで大打撃になるはずです。大企業の事業者は「書面による事前請求」が届いただけで震えあがります。


敷金精算で原状復旧特約。東京では要説明。消費者には無効?2004年4月19日 第493号

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