相続税は遺産取得課税方式




相続税は遺産取得課税方式へ…遺産分割で相続税が変わる?



2008年8月4日 第699号

昨年12月の自民党税制改正大綱に中小企業の事業承継を支援する相続税改正が盛り込まれました。そしてその中小企業税制改正の最後に唐突に次の一文が織り込まれました。

「この新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方法をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。その際、格差の固定化の防止、老後扶養の社会化への対処等相続税を巡る今日的課題を踏まえ、相続税の総合的見直しを検討する。」この内容のまま1月に閣議決定がなされました。

これを受けて今年7月22日に政府税制調査会が相続税の抜本改正の議論を始めました。相続税の課税方法を遺産取得課税方式に改めます。

遺産課税方式


法人税等の所得課税は、税率の差等の違いはあっても世界各国で大きな差は少ないようです。

相続税は全く違います。例えば中国には相続税はありません。

アメリカやイギリスでは「遺産課税方式」と呼ばれます。

日本の相続税は遺産を取得した各相続人に課税されますが、アメリカイギリスでは遺産分割前の遺産に課税し、例えば遺言執行者を納税義務者にします。


遺産から、まず最初に相続税をとってしまい、税引後の財産を相続人に分割します。だからどのように遺産分割をしようとも相続税はかわりません。

遺産取得課税方式


ドイツやフランスでは「遺産取得課税方式」と呼ばれます。

これは遺産を取得した相続人一人一人に対し相続税を課税します。この点は現在の日本の相続税と同じです。違うのは相続税額の計算の仕方です。

日本では相続財産全体の金額と法定相続人数で、相続税の総額が決まります。そのためにどのような遺産分割をしても相続人全員合計での相続税の総額は原則的には変わりません。

ドイツフランスとはここが違います。日本のように相続税の総額を決まることはなく、相続人ごとに幾ら相続したかで、一人一人に累進税率で課税します。

相続財産全体の金額と法定相続人数が同じであっても、長男一人だけで遺産すべてを相続すれば、累進税率で相続税は高くなり、すべての相続人で平等に均分相続すればそれぞれの累進税率は低くなり合計相続税額は少なくなります。


現行の日本の相続税はアメリカイギリス方式とドイツフランス方式との組み合わせです。

アメリカイギリスのように、どのように遺産分割しても相続税の総額は変わりません。そしてドイツフランスのように相続人ごとに実際に相続した財産をもとに、相続税の総額を按分して課税されます。

日本でも昭和32年まではドイツフランスの遺産取得課税方式でした。しかし長男だけで相続すると相続税が高くなることから分割を仮装するという弊害や、農業や中小企業の資産等で分割が困難な資産の相続への配慮から昭和33年以降は現在の相続税課税方式に変わっています。

しかし今回の政府税制調査会資料では次の弊害が生じているといいます。


(1)自己が取得した財産だけでなく他の相続人が取得したすべての財産を把握しなければ正確な税額の計算・申告ができない。(したがって、一人の相続人の申告漏れにより他の共同相続人にも追徴税額が発生する。)

(2)相続により取得した財産の額が同額であっても法定相続人の数によって税額が異なる。

(3)居住や事業の継続に配慮した課税価格の減額措置により、居住等継続に無関係な他の共同相続人の税負担まで緩和される。

相続税の抜本改正の結果


詳細はまだまだ不明ですが、遺産取得課税方式になると、長男が全財産を相続すると相続税が一番高くなります。相続人全員が均分に相続すると相続税が一番安くなります。

それにより遺産分割の流れは大きく変わるはずです。






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