相続税破産と物納条件整備




波乱の不動産市場…相続税破産しないための物納条件整備



2008年9月22日 第706号

相続税物納申請件数の推移


89年515件99年7075件
90年1238件00年6100件
91年3871件01年5753件
92年12778件02年5708件
93年10446件03年4775件
94年8798件04年3065件
95年8488件05年1733件
96年6841件06年1036件
97年6258件07年383件
98年7076件  
(94年別途に特例物納7268件)

平成になってからの相続税物納申請件数の推移です。

昭和バブルまでの地主さんの一般的な相続税申告納税は次のようなものでした。

相続税申告をするまで6ケ月(現在は10ケ月)です。ここで税額が決まります。取り敢えず延納申請です。そうして相続税納税のための土地の売却を始めます。土地は値上がりを続けましたから、遅れるほど高く売れました。売れたら延納申請していた相続税を一括納付します。

地価下落時代の相続税物納


バブルは崩壊します。相続税路線価のピークは92年です。

この頃に従来型の相続税申告納税をした多くの地主さんが破綻しました。地価の急落で、全財産を売却しても相続税を払えない大資産家は珍しくありませんでした。「相続税破産」という言葉まで生まれました。

注目されたのが相続税の物納制度です。その後に地価下落しても評価額で国が収納してくれます。幾ら値下がりしても相続時の評価額で国が買い取ってくれることと同じことです。


物納制度は一般的ではありませんでした。書店に「物納」本は皆無で、専門家も手探りでした。そして物納を選択した人は相続破産から救われました。

物納は一気に一般化しました。94年には相続税破産から救うべく過去に遡っての物納申請(特例物納)も認められました。

地価上昇と物納制度改正


さてピークに1万件を超えた申請件数が2007年には383件です。

ここ数年の都市部は地価値上がりに転じました。路線価より市場価格が確実に高くなってきました。マンション用地として路線価の2倍で売れるなら誰も物納などしません。物納申請件数は大きく減ります。

更に2006年税制改正で物納条件が極めて厳しくなります。

新制度では納税者側がきっちりと対応しなければ物納は認められません。税務署の指示に従い期限のとおり進めないといけません。極めて緊張感のある制度になっています。


ただし、改正時の都市部は地価上昇でしたから、物納の必要性も減り注目されませんでした。

この改正の適用対象は2006年4月1日相続開始分です。相続税申告期限は10ケ月なので、新制度申請件数が実質的に反映されるのは2007年からです。383件への減少はこれが理由でしょう。

今の時代の相続税物納対策


不動産関連企業の破綻が続き、世界の金融市場は大波乱。不動産市場の行方は見えません。

路線価は公示価格の80%水準です。時価が公示価格水準なら20%下がったなら逆転します。

逆転だけなら相続税申告時に路線価ではなく時価申告すればいいだけです。困るのはその後の売却換金です。申告し換価し納税するまでの地価下落をヘッジするのが物納です。

以前の物納は極めてユルい制度で、申請書1枚取り敢えず提出すればあとは何とかなります。

これが前回の地価下落時と今との物納の大きな違いです。

今の物納は生前での条件整備が重要です。相続税納税資金と予定する土地は、隣地境界を確定させ、測量し、地積更正を済ませ、貸地なら地代見直しと契約書整備とを進め、古アパートで必要ならば立ち退きし更地にする…との対応が必要です。


物納条件が整備済の土地は、相続後値下がりしても、昔の(相続開始時の)価格で引き取ってもらえるというメリットのある土地になります。物納でなく売却となっても測量済みなので処分しやすい土地になっています。



物納手続き厳格化…生前での物納条件整備が相続税対策 2006年3月6日 第583号





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