遺産取得課税方式




仮装遺産分割・未分割…相続税の大改正で何が起きる? 



2008年10月27日 第710号

二転三転する相続税の仕組み


明治38年に相続税が誕生です。民法は家督相続、家全体を長男が引き継ぎます。相続税は家全体の財産つまり親の財産全体に対して課税をしました。

昭和25年に相続税大改正です。新民法により家督相続は個人の均分相続に変わりました。相続税も「家」単位から「個人」単位に変わりました。

家全体財産への相続税課税から、家全体がどうあろうと実際に自分が相続した財産だけに対する相続税を各人が申告納税することになったのです。

家単位なら誰が何を相続しても相続税総額は同じですが、個人単位課税だと複雑になります。

親が100の財産を遺します。相続人は子が5人。5人が20づつ相続するのと、1人が100を相続して4人がゼロの場合を考えます。

基礎控除があり累進税率です。だれかが飛びぬけて多く相続するとその部分の税率は高くなります。ゼロ相続の相続人がいればその基礎控除は使えません。

相続税総額が最大なのは1人が100を相続し4人がゼロのときです。最小は5人が20づつです。


昔ながらの家督相続が相続税最大です。農業後継者や中小企業後継者が一人で全財産を相続すると相続税は最大になります。

そうすると「均等に相続したことにして」という仮装遺産分割が行われます。あるいは遺産分割をしません。未分割のままなら権利は法定相続分5分の1づづで均等です。税務署が忘れてくれるまでじっとしています。

「こんな相続税はダメ」とし、わずか8年後の昭和33年に現行相続税法の仕組みに変わります。

親の財産全体への相続税総額をまず決め、それを相続人ごとに配分します。仮装分割をしても未分割でも相続税総額は変わりません。相続税はこの制度に落ち着き50年が過ぎました。

この落ち着いた制度を昭和32年までの個人ごと課税に戻す方針が昨年の税制改正大綱で決定済みです。どうなることか…。

財務省は悩み深く


日本税理士会連合会のHPに財務省と税理士会の意見交換会資料があります。財務省の悩みが伝わってきます。

「未分割の場合の各取得者の納付税額は…例えば、一定の加算を行うこととする。」

未分割だと相続税加算をします。まず余分に相続税をとり遺産分割確定後に再申告すれば加算分は戻すのでしょう。

「未分割の財産を全部取得したとすると税額が生じる者には、(申告時に納付税額が生じない場合でも)申告を求めることとする。…未分割での申告を行った場合は、毎年、分割協議の状況の届出を求めることとする。」

現在の基礎控除は相続人が子5人なら全体で1億円。改正後は一人ごとになります。これを仮に2000万円としましょう。

現在なら、相続財産全体が1億円までならどう分割しても未分割でも相続税申告不要です。

改正後の基礎控除は一人ごとです。相続財産全体を2020万円としましょう。未分割なら一人404万円で各控除額2000万円以下です。しかし誰かがすべて相続すれば控除を超え課税です。

未分割なら相続税ゼロであっても遺産分割次第で課税になってしまうのです。未分割相続税ゼロでも一度申告させないと税務署としてフォローできません。

そこで相続財産全体が2000万円超なら相続税申告をしろ、その上で毎年状況報告しろと言っているのです。本当にそう決まれば、膨大の相続税申告書と届出書で現場は大混乱です。

「生命保険金」には注意です。現行は法定相続人数×500万人が非課税です。5人なら2500万円限度、誰か一人が2500万円を受け取っても非課税です。改正で1人500万円限度となると5人が500万円づつ受け取れば非課税ですが、一人が2500万円だと500万円を超え課税です。


政治は大混乱。自民党税調は機能せず、行方は見えません。なおHP資料には「未定稿」とあり決定でなく意見の段階です。



相続税は遺産取得課税方式へ…遺産分割で相続税が変わる? 2008年8月4日 第699号





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