アパート更新料と消費者契約法




アパートの更新料は消費者契約法で無効。家主に返還命令。



2009年7月27日 第746号

敷金と消費者契約法


「消費者の利益を一方的に害するものは無効」とする消費者契約法は2001年4月施行です。

争いが始まります。「敷金を当然のように没収するのはおかしい。」「部屋の原状回復費だから当然だ。」「タバコの焦げは賃借人負担としても経年劣化の自然損耗は貸主負担にしろ。」

 まず2004年3月16日京都地裁の衝撃判決でした(高裁で確定)。

「自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることは,契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害するものといえる…(だから)原状回復特約は消費者契約法10条により無効」。


これにより「経年劣化といった自然損耗・通常損耗は当然に貸主負担」との考えが広がり、関西の敷引きは制度そのものが無効ではないかと議論されます。

大阪府住宅供給公社が原状回復費用として敷金から差し引いた金額を返還しろと訴えられます。消費者契約法施行前の契約なので、原状回復費の負担は、家賃二重取りと同じとして公序良俗違反での訴えになりました。

高裁までは賃貸人の勝ちでしたが、2005年12月16日の最高裁で逆転し、賃借人の勝ちです。

通常損耗まで負担することは、契約書などにしっかり書かれていないし、そもそもちゃんと説明を受けていないから、無効だ、という結論でした。

この判決は読み方によっては「通常損耗負担そのものがダメではなくて、契約と説明をしっかりしないからダメ」とも読めます。それでも賃貸人が最高裁で負けたということは事実です。

敷金の裁判は賃借人が圧倒的に有利、と思われるようになります。しかし逆転します。

2009年6月19日の大阪高裁は、「ちゃんと説明して明確に契約しているし、借主だってちゃんと他物件と比較できる状況だったから、消費者契約法上で問題なし」として貸主が勝ちました。


もちろん、敷金返還の争いは続いており、まだ未決着です。

更新料と消費者契約法


敷金に続いて更新料の争いです。月額家賃4万5000円、更新料毎年10万円で5回更新料を払い、過去5回分50万円の更新料の返還を求める裁判が起こされました。更新料なんて理屈にならない一時金。何で消費者に払わすんだ。こんなのは消費者契約法で無効だ。返金しろ、です。

50万円の訴訟に、双方それぞれ意地をかけて10名の大弁護団。更新料が無効になれば大きな影響があります。更新料が無効なら次は礼金でしょうから。

「更新料は家賃の一部。過大でないし借主に不利益でもないから、更新料は有効。」京都地裁判決(2008.1.30.)で賃貸人勝利。更新料は有効とされ、その後の大津地裁判決(2009.3.27.)も同様の判決となり、日本中の大家さんはホッとしました。

敷金や更新料について、当初は消費者利益を重視した裁判所が、バランス感覚を取り戻してくれた、と不動産業界は思い始めました。しかし甘かった。

「更新料は無効 家主に返還命令…京都地裁が初判断」とのニュースが2009.7.24.の新聞各紙で大きく報道されました。


判決は「更新料は更新後に実際にマンションを使用した期間の長さにかかわらず支払わなければならず、使用期間の対価である賃料の一部とはいえない」「入居者が契約書で特約の存在を知っていても、その趣旨を明確に説明し、合意を得ない限り、利益を一方的に害することになる」(日経新聞2009.7.24.より)

更新料は家賃じゃない。またちゃんと合意していなければ無効だよ、という判決です。

日本中のアパート大家さんが、いきなり更新料ナシにはできないでしょう。でも更新料分を家賃で調整したり、きっちり説明して明確な合意を取る等の努力は必要です。いずれ最高裁が判断するでしょうが、個別事情と具体的契約内容も問題です。

もちろん、更新料の争いも継続中で、まだ未決着です。


2011年7月の最高裁判決で更新料は有効となりました。

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