更新料は無効だから返還せよ。




大阪高裁逆転判決…アパート更新料は無効だから返還せよ。



2009年9月7日 第751号

消費者契約法10条は「民法の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と定めています。

大学に受かって入学金授業料を納付したが、別大学入学で入学辞退。返還に応じない大学に対し、入学金はともかく、授業料は消費者利益を一方的に害すから返還しろとの最高裁判決(2006.11.27.)があります。

京都のワンルームマンションで家賃が月4.5万円、更新料が1年毎に10万円の賃貸借契約です。

「更新拒絶の申出をしない限り…更新継続されるものとする。…尚この場合、賃借人は賃貸人に対し、契約書記載の更新料を支払わねばならない。」

合計6回60万円の更新料が支払われ、うち5回分50万円が消費者契約法施行後のものです。

賃借人は更新料が消費者の利益を一方的に害するもので無効だから返還せよと争いました。

京都地裁(2007.1.30)は返還を認めませんでした。

更新料により更新拒絶がなくなるし、法定更新でなく合意更新になるのだから賃借権が強くなる。それに何より、更新料は家賃の一部だし、賃借人だって他物件と比べて納得して契約したんだからいいでしょう。


更新料は説明つかない撒き餌


大阪高裁(2009.8.27.)で逆転です。すさまじい判決です。

そもそも何もしなくても法定更新するんだから、更新拒絶されない対価とか賃借権が強くなる対価のはずないじゃないか。

それに賃料ではないし賃料補充性質もないし、説明つかない金、と京都地裁判決を全否定します。

「本件全証拠によっても…(賃借人が)賃料以外に本件物件の使用収益に伴い出捐することととされる本件更新料約定が置かれている目的、公的根拠、性質は明確にされていない。…(賃貸人から見ても)更新料が維持されるべき積極的合理的な根拠を見出すことは困難である。」

「…更新料を併用することにより…家賃額を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されるものでない。」「更新料約条は…一見低い月額賃料額を明示して賃借人を誘引する効果がある…」

更新料は説明つかない金で撒き餌のようなものだ。

だから消費者利益を一方的に害し無効だとし、更新料は返還です。次は最高裁です。

更新料は地域で違い、東京なら2年で1ケ月分が多く、「東京は京都と違い更新料が安いから問題なし」という声もありますが、この判決に従えば金額の多寡でなく、説明つかない金だから無効ということです。


(判決には「更新料が…かなり高額」との一文もありますが、対価(金額の多寡)が問題なのではなく対価を理解するための情報格差等が問題としています。)

個別事情次第ですので、十分に説明をする、更新料を賃料に織り込む、定期借家にして更新をなくす等の対応が必要です。

古くからの経緯ある商習慣を判決一つで変えていいのかとも思えますが現実対応が必要です。

サラ金過払い金返還の次


弁護士や司法書士によるサラ金過払い金返還ビジネスは先細りです。これが最高裁で確定すれば次なる返還ビジネスです。例えばこの訴訟アパート住民は同じ個別事情で同じ契約書でしょうから返還は確定でしょう。

同一のREIT・不動産会社・管理会社の住民を対象にします。居住系REITは物件を明示していますからいい標的になります。

そこに「完全成功報酬ですからみんなで更新料返還請求をしませんか。」と広告をまけば集団訴訟ビジネスが成立します。

複雑で分かりづらい分野に


消費者契約法の争いは大学の授業料等の分かりやすいものから始まり、契約書が明確な更新料返還にたどり着きました。

例えば生命保険契約での特約一部解約条項等で一般に比べて著しく契約者に不利な保険商品もあります。消費者契約法の争いはこれらより複雑で分かりづらい分野に広がります。


2011年7月15日最高裁判決は更新料有効との判決になりました

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