生命保険年金二重課税




年金型形式の生命保険金への所得税課税は二重課税で違法



2010年7月12日 第792号
生保年金二重課税の最高裁判決が大きなニュースになっています。死亡保険金を年金形式で受け取った場合の課税です。
生命保険料を累計90万円支払った段階で夫が亡くなり、妻は年額230万円期間10年の年金払い死亡保険金(年金受給権)を得ます。その年金受給権に対し相続税が課税されます。10年で年金総額2300万円ですが、利息等を考慮し現在価値1400万円(税制改正があり現行法ではもっと高額になる)が年金受給権評価としての相続税課税でした。
そして第1回年金230万円を受け取りました。その230万円に対応する支払済保険料は9万円(90万円の10分の1)なので、差額の221万円が所得税対象となりました。二重課税されました。

相続税課税と所得税課税


課税側の常識は「相続税は財産(もの)課税、所得税は所得(もうけ)課税で、別のもの」です。
まず年金受給権という財産への課税。次に払込保険料と受取金との差額という所得への課税。別個の課税は当然で、死亡保険金の一時金受取が「所得税課税(保険料と保険金の差額への所得課税)が抜け落ちてしまう例外」だと整理されていました。
最高裁判決(2010.7.5.)で常識が覆されました。
「相続で取得したものには所得税を課さない」との非課税規定が所得税法にあります。これをもとに第1回年金230万円への所得税課税が争われました。福岡高裁は非課税を認めませんでしたが、最高裁で逆転です。
所得税を課さないとは「相続税の課税対象となる経済価値に対しては所得税を課さないこととして、同一の経済的価値に対する相続税と所得税の二重課税を排除したものと解される(最高裁判決より)」
年金受給権に相続税課税したならその経済的価値(現在価値1400万円)までは所得税を課税しないと判じたのです。そして年金230万円は非課税。なお1400万円を超えた部分をどう課税するのかは明確には判じません。保険会社は各社数千件の調査、国税もその還付作業の開始です。

不動産に置き換えると…


夫が90万円で買った土地が2300万円に値上がりした時点で亡くなり妻が相続します。路線価評価額は1400万円でこれに相続税課税です。その後この土地を2300万円で売却換金します。
年金課税同様に夫の原価(支払済保険料・取得費)を引き継ぎます。売却額2300万円に対し原価90万円で、譲渡益2210万円への譲渡税課税です(例外あり)。
つまり相続してから売却すると、同じ部分に対して、相続税と譲渡所得税が二重に課税されることになります。
最高裁判決に従えば1400万円が「同一の経済的価値」と考えることになれば、譲渡税は二重課税です。判決の考え方なら、1400万円までは相続税で課税を受けたので、譲渡税の原価は1400万円でいいのではないか…。
ただ「相続」でなく「相続した財産の譲渡」による所得、また土地原価は相続人が引き継ぐとの法律もあり、年金相続とは違ってかなり厳しそうです。
それでも「そもそも二重課税」との主張はできるかも…。誰かが最高裁まで争って勝たなければ不動産はダメのようですね。

真っ当なアドバイスは?


従来の実務常識は「死亡保険金を年金形式で受け取ると課税上不利。よって年金形式でなく、一時金で受け取るべき」でした。
だから年金形式が原則でも一時金選択可能な商品設計をし、そう顧客指導してきたはずです。
一般には相続税は非課税枠も大きく課税は例外です(逆に敢えて節税目的等で年金にする例外事例もありますが)。だから所得税課税となる年金形式を回避するのは当然です。
しかし救済される契約は1万件超のようです。正しく指導されずに年金形式を選んだ件数が膨大なのです。判決事例も単なるこの指導ミスかもしれません。
保険金支払時に顧客に真っ当な指導をしているのでしょうか。

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