工場跡地売買は土壌汚染リスク




工場跡地売買は土壌汚染リスクに向き合わざるを得ない



2011年2月14日 第820号

売買から15年後の有害物質


平成3年に東京足立区の土地開発公社はフッ素工場跡地を23億円で公共工事代替地として買いました。当時はフッ素は法規制の対象ではなく健康を害するとは思われていませんでした。

しかし平成13年に東京都条例で土壌含有フッ素環境基準ができ、平成15年の土壌汚染対策法で特定有害物質に指定されます。

買主は平成17年になり調査をして基準超のフッ素が検出です。代替地にではなくフッ素を除去し公園用地にしようとします。

そして売買から15年も経て売主に対し除去費用等の賠償を求めます。東京地裁は認めませんでしたが平成20年9月25日の東京高裁判決で4億円の賠償です。

売買時の取引観念上は有害と認識されていなかったが、その後の新しい規制により有害と判明した。それは瑕疵(欠陥)である。よって除去費用を賠償せよ。

時効は確かに10年だけれども、それは有害性が社会的に認識された条例施行の平成13年から10年だ。…という判決でした。

売主から見れば、そもそも売却時には有害物質と思われていなかったし、15年も経ったのに賠償なのです。売買後の改正等で規制されたものにも責任ありとするなら、将来いつ規制があるか分からないので売却済みの土地への責任は永遠に消えないことになります。土地を売るならあらゆる土地含有物質の危険性を研究しないといけません。


平成22年6月1日の最高裁判決で逆転します。

「本件売買契約締結当時、取引観念上、フッ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されておらず…」

として、売買時の「取引観念」で考えて問題なければいい、としました。つまり売買時に社会的認識や常識で問題なければよいということです。賠償は認められませんでした。

ここは「取引観念」が問題なので、「法規制」がなければ問題なしというのではありません。


購入した3580万円の新築マンションのホルムアルデヒドによりシックハウス症候群が発症し、マンション業者に3662万円の損害賠償を認めました。

新築当時は既にホルムアルデヒド問題は社会問題化しており大手開発業者は対応しており、またマンション引渡時に法規制はなかったもののホルムアルデヒドへの厚生省指針は存在しその指針を超えていたからです。

(東京地裁平成21.10.1)

ちなみにこのマンションの販売パンフレットは「壁紙にはホルムアルデヒドなどを含まない…」「人にやさしい壁紙…」とありました。壁紙には含まれないが建材には含まれていました。

瑕疵担保免責条項があっても


ある会社が工場跡地の売却をしました。専門調査会社や一部上場企業に依頼して調査し浄化工事をし、多くの報告書を取り、役所手続きも完了させます。

「地下1メートルで、6ケ月までしか責任を負わない」との瑕疵担保責任制限条項を売買契約に織り込みました。売主にできるリスク回避はやりました。

しかし引き渡した浄化工事済み土地から汚染が発覚します。

このケースでは6ケ月経過済みで制限条項が有効なら責任は負わないはずです。しかし買主は裁判所に賠償を求めました。

判決で瑕疵担保制限条項は有効とはされたものの、売主には売買契約の信義則上の付随義務として汚染浄化義務がありそれに違反として損害賠償(ただし地下1mまでの費用)を認めます。

瑕疵担保責任はないが信義則の浄化義務の不履行責任です。


売買契約の制限条項で責任を限定したとしても、信義則をもって責任を問われます。色々リスク回避してもダメなのです。

なおこの買主はすぐ別会社に転売しており、うまく儲けたはずが裁判に巻き込まれました。

(東京地裁平成20.11.19.)

そもそも調査は土地全部の調査でなく100uに1ポイントといった調査なので限界があります。





土壌汚染対策法…不動産取引では土地の履歴調査が必須に 2003年6月16日 第452号





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