公正証書による不動産贈与




公正証書による不動産贈与・税務署相手の弱気な戦い方



2011年5月9日 第832号

贈与税の時効は6年で、偽り等の場合は7年です。公正証書で土地の贈与を受け時効後となる8年目に贈与登記をしたら?。

税務署相手の弱気な戦い方


昭和49年に公正証書での贈与契約書が作成されます。親が子に土地を贈与し、所有権移転登記を行い、以降の固定資産税は子が負担との内容です。所有権移転登記は行われず昭和55年になり仮登記だけが行われました。

その状態のままで時が経ち平成11年1月に親が亡くなります。


平成11年の土地評価額は3億円です。さて25年前に公正証書か、あるいは19年前に仮登記が贈与なのであれば、この土地は子へ贈与済みの財産であり相続財産でなく、もちろん相続税課税対象外です。贈与税申告はしていなくても贈与税は時効です。国税不服審判所で争われます。

このケースには弱点が多くあります。仮登記だけで本登記はなし。固定資産税は親が納付し、土地地代を親が受領し申告。贈与済みのはずなのに相続財産として遺産分割の対象にしている。

これでは相続税申告をする税理士も弱気になってしまいます。

贈与はなかったものとして土地を相続税対象資産として相続税申告をしその上で「更正の請求」(減額申告)で争います(期限は申告期限から1年以内)。

平成15年3月25日に国税不服審判所の裁決がありました。

「合意内容どおりの履行が行われていないばかりか(所有権移転登記が行われていない)、…贈与…時以降においても本件不動産の賃貸料の収受及び本件固定資産税等の支払を、贈与者とされる被相続人が行っており、被相続人の確定申告や本件遺産分割協議書においても、本件不動産が被相続人の所有財産として扱われるなど、本件公正証書の内容と矛盾する行動…本件不動産を真に贈与する意思を有していたものとは認め難く…公正証書は将来の相続税の負担を回避することなど、何らかの意図をもって作成された、実体の伴わない形式的な文書と見るのが自然かつ合理的であり、本件公正証書によって…贈与の合意が成立していたものとは到底認められない。」だから贈与はなく相続税対象だとの結論でした。

このケースは土地を相続税課税対象とし自ら当初申告しました。その上で「土地は実は贈与済みなので相続財産でなく減額を求める」との「更正の請求」(減額申告)で争いました。

減額申告で勝てば減額差額の還付となりますが、負けたとしても当初申告した内容のままなので税額が増減せず、過少申告加算税・延滞税は生じません。

当初申告で勝負すれば、税務署側はそれを否認し職権で課税処分しますが、課税処分が裁判等で覆される可能性もあり、税務署側も相応の覚悟が必要です。

それに比べ減額申告は迫力に欠けるので勝つ可能性は著しく下がりますが、弱気な場合のノーリスクの戦い方といえます。


強気の公正証書贈与作戦


昭和60年に公正証書で親から土地の贈与を受けました。固定資産税は納税管理人として自分が払い、ガス水道も自分の名義にします。時効経過を待ってか8年後の平成5年に自分の名義にしました。堂々と理屈で税務署に戦いを挑みます。「8年前の贈与なので贈与税は時効です。」

税務署は登記をチェックしています。前例のような仮登記でなく本登記なので税務署は登記を確認し自主申告を迫ったでしょう。しかし申告に応じません。

税務署は平成5年分贈与として贈与税1億円の課税処分です。

争われ平成9年1月29日に国税不服審判所で裁決がありました。

「本件公正証書の作成の目的は租税回避にありそれ以外に特段の必要性がなかったものと推認され…実態の伴わない形式的文書にすぎず…贈与が成立したとは認めることはできない。」

贈与税1億円と無申告加算税・延滞税が課税されました。

このような贈与税回避目的の公正証書による不動産贈与の事例はなかなか難しいようです。

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