敷引き有効最高裁判決




敷引き賃貸借契約で通常損耗借主負担は有効…最高裁判決



2011年5月16日 第833号

通常損耗の賃借人負担は?


アパート退去時には賃借人の原状回復費用が問題になります。

借りた時と全く同じ状態に戻す義務は賃借人に本来ありません。経年変化や通常使用での損耗キズ等(以下「通常損耗」)は賃貸人負担が原則でこの回復費用は家賃に含まれると考えます。


タバコの焼け焦げ等の特別な損耗は賃借人の負担が原則です。

敷金返還問題とは通常損耗負担問題であり平成13年の消費者契約法で流れが決まりました。

「消費者の義務を加重する消費者契約」であり「基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効」です。

本来は賃貸人負担の通常損耗を賃借人負担にすれば消費者義務を加重する契約です。それで消費者利益を一方的に害されるとしたならその契約は無効です。


では金銭面等で一方的に害されなくても賃借人負担にするとの特約は無効なのでしょうか。

平成17年12月16日最高裁判決。

契約は本来自由です。だから不当な負担でないのなら、本来は賃貸人負担のものを賃借人が負担することを、賃借人が明確に認識すれば賃借人負担特約は有効。逆にいえば、明確に認識できていなければ特約無効です。

敷引きでの通常損耗は


関東等の習慣は礼金・敷金です。敷金は原状回復費用等を実額精算した上で返還されます。

大阪神戸等は敷引き。敷金6ケ月敷引き4ケ月なら、退去時に敷金から敷引き4ケ月分を控除し返還です。通常損耗の回復費用は敷引きに含まれますから、実額での精算はありません。

消費者契約法で考えてみます。実際の損耗にかかわらず定額精算は損なの得なの不当なの?。敷引きって消費者契約法違反じゃない?。次々裁判になります。


京都で65.5uのマンションの平成18年の賃貸借契約です。

家賃9.6万円。保証金40万円差入れ(つまり敷金は家賃4.2ケ月分)、経過年別に敷引き額は変わり、1年未満18万円、2年21万円、3年24万円…5年以上34万円。裁判例は21万円(家賃2.2ケ月分)控除で19万円が返還でした。

賃借人が、敷引きは消費者契約法により無効、21万円返還を求め訴えます。平成23年3月24日に最高裁判決となりました。

まず敷引きの特約については「別異に解すべき合意のない限り通常損耗を…賃借人に負担させる趣旨を含む」ので消費者義務を加重する契約に該当します。

論点は消費者利益が一方的に害されるか否かになります。結論は、害されてはいないとして、この敷引きは有効であり、21万円返還は認められませんでした。

なぜこの賃貸借契約は有効か


なぜ害されてないか。

通常損耗分が家賃に含まれないのだから、その分の家賃が安くなっているはず。それに実額精算ではなくなるので紛争防止効果もあり不合理とはいえない。

もちろん敷引き額が過大なら、つまり不当な負担なら消費者の利益が一方的に害される。


そこで具体的に見ると「契約の経過年数や本件建物の場所専有面積等に照らし本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえな」く、敷引き額も家賃の2倍弱から3.5倍強であり、更新時(2年更新)の更新料1ケ月分を除き礼金もないので、敷引き額が高過ぎるとは言えない。…よって消費者契約法で無効とはいえない。

敷引き契約は有効なのか


つまりちゃんと条件設定された敷引き特約は無効になりません。この考え方は原状回復費用の定額精算にも通じそうです。

裁判例の賃貸借契約書等には、通常損耗については敷引きによりまかなう、つまり家賃に含まない旨が明記され、また疑義が生じないように通常損耗の範囲を明確に示しています。つまり平成17年最高裁判決を意識した契約書のようです。違う契約書なら違う結論かもしれません。


事業者への賃貸は消費者契約法の適用対象外なので判決等に拘束されず自由に契約できます。

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